「地元について理解を深めたい」「地元を更に好きになりたい」 ~地域イベント企画コース 体験レポート~

茨城県ひたちなか市と地域プロモーションの運営を行う「株式会社ココロマチ」が協働し、まちづくりや地域活性化に関わりたい学生のために開催された実践型ローカルインターンシップ【ひたちなかBRIDGEプロジェクト2023】。
  
ひたちなか市出身の学生や首都圏在住の学生など12人のメンバーが集まり、「駅前活性化企画コース」と「地域イベント企画コース」に分かれ、8月から約半年間活動してきました。

私たちは「地域イベント企画コース」のメンバーとして、「地域密着で活動しているイソザキ自動車さんの大創業祭に参加することで、企画と地域との関わりを学ぶ」をテーマに活動してきました。
受け入れ企業は、ひたちなか市にある本社で地元住民を呼び込む「大創業祭」を毎年行っている「磯﨑自動車工業株式会社」さんです。

地域密着企業の経営も学びながら実際のイベント運営にも参加することで、企業と地域の関わり方への理解を深めるコースとして、活動してきたことを一挙にレポートします!

メンバー紹介

出身が様々な6人のメンバーを紹介します!

【No.1 佐藤優樹(ゆき)】 福島県出身

【No.2 佐藤鈴華(すずちゃん)】 ひたちなか市出身

【No.3 鈴木啓太(けいちゃん)】 ひたちなか市出身

【No.4 鈴木瑞希(みずちゃん)】 ひたちなか市出身

【No.5 高日海羽(先生)】 ひたちなか市出身

【No.6 難波旬(リーダー)】 東京都足立区出身

受け入れ企業「磯﨑自動車工業株式会社」さん

本社をひたちなか市に置き、茨城県内にも店舗を複数持つ自動車販売店「磯﨑自動車工業株式会社」。

創業から51周年を迎えた磯﨑自動車は、ただ車を売るという商売だけに留まりません。車が必要不可欠な地域だからこそ車を通じてお客様と共に人生を歩み、地域貢献に尽くす。これこそが使命だと磯﨑社長はおっしゃっていました。

モットーは「クルマを通じて人と社会を幸せに」。本社にある豪華な納車スペースなどを見ても、お客様に対する親身な姿勢というものがすぐにわかります。
作業時間45分の「マッハ車検」や次の車検まで安心な「イソザキプレミアム車検」など、カーライフをしっかりサポートするサービスも展開しています。

その他にも多数のイベント企画や、時には社長自らスポンサーチームに混ざり、マラソンやサッカーを楽しみます。
歴史ある企業であると同時に、新しい試みも欠かさない、そんな地域に愛される企業が今回お世話になった磯﨑自動車さんです。
地域活性やまちづくりに関心を寄せる私たち大学生にとって、学ぶことが非常に多い企業だと感じました。

磯﨑自動車が最も力を入れているイベントの一つである「イソザキ大創業祭」も、“地域”とは切っても切れない関係です。
自動車販売店らしからぬ屋台がずらりと並ぶ光景は地元住民の心を掴み、新たな顧客を創造することに繋がります。

その方法の一つをこのプロジェクトで考え実現することが、今回私たちに与えられた使命でした。

【ひたちなかBRIDGEプロジェクト2023】のプログラム内容

「ひたちなかBRIDGEプロジェクト」は、5~6人ずつ2つのグループに分かれ、現地フィールドワークや、そのコースのテーマに沿った企画提案・実践に取り組むことで学生と地域の関わりを創出しているプロジェクトです。

「2023」では、「駅前活性化企画」と「地域イベント企画」という2つのコースがありました。
駅前活性化企画コースは「関山楽器」さんが、地域イベント企画コースは「磯﨑自動車工業」さんが受け入れ企業となっています。

私たち学生は、受け入れ企業さんに協力していただきながら、企画を考えたり実践したりし、約半年間の活動を行ってきました。

私たちは「地域イベント企画コース」として、企業と地域との関わりを知ることを目的に、地域密着で活動している磯﨑自動車さんの「大創業祭」に参加し、企画を実践しました。

私たち学生が大創業祭に参加するにあたり与えられた使命は、「大創業祭でクルマを実際に売ってみること!」。そして、車の販売を通じて「地域の方々と関わり、楽しむこと」です。
担当してくれた磯﨑自動車の三上さんは、私たちに「とにかく楽しんで!」と何度も声をかけてくださいました。

私たちは、磯﨑自動車さんの「大創業祭」で車1台を売るために、数回のフィールドワークを行い、「何のオプションを付けたら売れるのか」などについて、検討を進めました。
さらに、オンラインミーティングを毎週金曜日の22時から行い、車を売ることについての話し合いを行いました。
学生同士はもちろんのこと、磯﨑自動車の三上さん、山崎さんもお忙しい中ミーティングに参加してくださり、どのようにしたら車が売れるのかについて徹底的に話し合いを行いました。

私たちがどのように検討を進め、実践したのか、紹介していきます!

<第1回:オリエンテーション>

初めての顔合わせは「株式会社ココロマチ」の都内オフィスで行われたオリエンテーションでした。

オンラインで参加しているメンバーも含め、自己紹介が始まりますが、やはりどの参加者からも緊張感が感じられます。
しかし、皆がまちづくりや地方創生に関心を寄せていることを知り、同じ志を持つ同士きっとうまくいくと感じることができました。

本プログラムでは、活動地となるひたちなか市の魅力と課題を知り、受け入れ企業の方々と主体的に関わることで「地域とのつながり」を作っていくことを目指します。

磯﨑自動車さんが私たち地域イベントコースに与えた使命は「51周年を祝う創業祭を共に盛り上げる」ということ。歴史あるイベントに学生ならではの視点が取り込まれた“企画”が求められるといいます。

車が必須の生活圏だからこそ、そこに根付く自動車販売店を知ることで地域を知ることにもつながります。
非常に活気があってユニークな企業である磯﨑自動車が執り行う「大創業祭」を知ってもらうために、まずは私たちひたちなか市を知る必要があります。
次にメンバーが集まるのは1泊2日の現地フィールドワーク!結束力を高め、起用されるような企画を考えることができるのでしょうか。

名刺を頂戴した時の様子

社長の磯﨑さん、執行役員の三上さん、今年度新卒で入社した山崎さんが挨拶に来てくださいました!

イソザキ自動車の創業祭とは

<第2回:現地フィールドワーク> ~1泊2日でひたちなか市の魅力を知る~

ひたちなか市で実施される現地フィールドワークの日がやってきました!

はじめは、大学や年齢などが違う中で、どのようにコミュニケーションをとっていけば良いか手探りの状態でしたが、1泊2日を一緒に過ごすうちに仲を深めることができました。

1日目

地域イベントコースと観光コースに分かれ、ひたちなか市内の様々な場所を散策しました。

地域イベントコースはひたちなか市出身の学生が多いですが、出身者でも知らない場所や魅力がたくさんあり、ひたちなか市への理解を深める良い機会となりました。

市内の散策で特に印象に残ったのは、干し芋の専門店「大丸屋」です。

参加者全員でサツマイモのジェラートをいただきました。サツマイモの旨味をじっくり味わうことができ、茨城の名産品であるさつまいものおいしさを実感しました。
ジェラートによって効能が違う点もポイントです!

 

2日目

磯﨑自動車さんと共に、大創業祭に向けてのアイディア出しを中心に行いました。

付せんに目標や計画、やりたい企画などを各々書き出していき、SNSで使用するコンテンツやコンセプトも決定しました。

「夢はイソザキ自動車創業祭でクルマを売ってノルマを終えること」というコンセプトを基に、クルマとひたちなか市の魅力を伝えることとなりました。

学生たちが意見を出し合っている様子

<第3回:自主フィールドワーク> ワンプライスカー付ける最適な車中泊用品を考えよう

ひたちなか市での自主フィールドワーク。今回は男性陣のみで行ってきました!
内容としては、ワンプライスカーに付ける車中泊用品を考えることです。

販売する車の車種は、「スズキ ハスラー ハイブリッドG オフブルー」。
その車を単体で販売するのではなく、付加価値として、購入した瞬間から車中泊に出かけられるアイテムを搭載することにしました。

なぜ、「車中泊」をテーマにしたのか。

それは、大学生が車でしたいこととして、「アウトドア」「キャンプ」などの意見が挙げられました。
これらの意見から、そのまま車で寝泊まりできるグッズを付けて販売すると良いのでは、という意見でまとまりました。

しかし、私たち大学生だけでは「何を付けたらよいかわからない」などの課題もあったため、磯﨑自動車の社員の方と相談しながら、搭載するオプションを決めていきました。

<搭載した車中泊用品>

・カータイプ ・リラックスクッション ・プライバシーシェード ・JVCポータブル電源 ・ベアボーンズライト ・ベースキャリア ・ルーフラック ・マット

上記のオプションを搭載して販売することにしました!

当日の創業祭に向けて楽しみと不安がありますが、今まで私たちがやってきたことに自信をもって創業祭に挑みたいと思います。

ハスラーの車内

プライバシーシェード

<広報活動>

SNS活動~Instagram編~

広報活動の1つとして、Instagramを活用しました。
ひたちなか市のクルマや魅力、大創業祭の集客を目的に投稿しています。

日々の私たちの活動の様子を投稿しました。

大創業祭でクルマを売るために営業のコツを社員さんに教えてもらったり、ハスラーの魅力をインタビューしに行ったりし、それらの写真に文字や絵などを加えたりして編集も工夫しました。

「面白い投稿をしたい!」というメンバーの意向で、磯﨑自動車さんにも協力してもらい、思わずくすっと笑ってしまうような写真も使用しました!

~TikTok編~

TikTokの運用も行いました。

TikTokでは「ストーリー性×ひたちなか市の魅力」をテーマにし、大学生が「車1台を売る」というノルマを背負わされてから、実際に大創業祭を迎えるまでの背景をストーリー仕立てで投稿しています。

応援してもらうとともに、ひたちなか市のグルメや観光スポットを投稿することで、「車があれば楽しい体験ができる!」と期待感を上げることを狙いました。
 
TikTokで一番伸びた動画と私たちのTikTokのリンク・アカウント名を貼り付けますので、ぜひ見てみてください!学生たちの苦労や楽しそうな動画が見れます。

https://www.tiktok.com/@noruma_tsurai2023
アカウント名:イソザキ自動車にノルマを背負わされた大学生
アカウントID:@noruma_tsurai2023

<第4回:イベント当日> 大盛況の大創業祭!大学生たちは車を売れるのか!

<1日目>

ついにやってきました創業祭当日の朝!
社員さんや提携企業、出展者さんなどが参加する朝礼に耳を傾けながら、ワクワクが抑えきれませんでした。
たくさんの屋台がズラリと並び、気分はお祭りです!!(実際にお祭りですが……)

ここでようやく、学生考案車中泊使用のハスラーとご対面です。

自分たちで発案し、良い内容に仕上げたと自負していましたが、実際にオプション品と共に展示されているのを見ると感動しましたし、より一層売ってやろう!と気持ちが昂りました。

そして開場時間。
まずはできることとして事前に用意したチラシを配り、「大学生が何かやっている」と思わせるところから始まりました。

当然、いらっしゃる全てのお客様が私たちの活動とSNSを知っているわけではないので、チラシ配りや声出しは最も大切な作業とも言えます。

途中で磯﨑社長から「もっと人目につく場所にしよう!」と提案を受け、入場口の真横に移り、活動を精力的に行います。快晴ということもあり、人の足が止むことはありませんでした。

そして、その分私たちの活動と展示されているハスラーを気にしてくださる方が増え、たくさんのお話を聞くことができ、アピールをすることもできました。

しかし、実際に商談までに持ち込むことはできないまま、時間は過ぎていきます。
お客様の楽しむ笑顔とは裏腹に私たちは、営業の大変さや、翌日の大雨予報を考え、気持ちが翳っていきます。ついには、ノルマを達成できずに初日の創業祭を終えます。

宿まで手配してくれた磯﨑自動車さんのご厚意が本当に沁みました。

1日目車が売れなくて落ち込んでいる学生たち

<2日目>

予報通り、大雨・強風から一日が始まります。しかし、2日目のビックイベントである「3万円カーのジャンケン大会」が控えていることから、客足は衰えないと推測されました。

2日目に工夫した点は、大きく3点あります。

  1. ハスラーの展示場所を入口に移しました。店舗に入るお客さんは商談をする可能性が高いので、車に興味を持っている人に必然的にアプローチができます。
  2. 私たちの活動を記したチラシを入場口で配ることで、当日における知名度の底上げを図ります。
  3. 「値段表記が小さく、売り物として見られていないのでは」と話が上がったため、値段が大きく表示されたポップを至急作成し、あとは声を出すのみです!

車中泊仕様のハスラー

気温が下がっていく中でお昼を過ぎ、やはり焦りが出てきてしまいます。

ひたすらに声を出し続け、ついに天気が回復し出しました!と同時に、目玉イベント「3万円カーのジャンケン大会」を目当てに来られたお客さんが増え始めます。
最後のチャンスを掴むためにも気が抜けない時間です。

そこにある情報が社員さんから舞い込みます。

「下取りに出している車の金額次第で、こちらのハスラーを購入しようと思う」とおっしゃったお客様がいると言います……!

残念ながらその交渉に僕らが入る余地はありませんが、多くの社員さんの協力を得て、ついに成約の瞬間を目にします。

大創業祭では、車を購入された全てのお客様に三本締めを行います。特別な時間をお客さんに、という意義ですが、学生たちのハスラーを送り出すという意味で、私たちにとっても特別な時間でした。

そして最後に、活動の一環として購入されるお客さんにお話を伺いました。
決め手は、私たちが決めた車中泊用のオプション品だったそうで、この内容にしてよかったと心底安心しました。私たちが定めたターゲットとオプション品の質の良さが見事にハマったのではないかと思います。

劇的な2日間は、ノルマ達成という嬉しい結果によって幕を閉じました。

<第5回:成果報告会> ありがとうひたちなか

報告会が控える師走に入り、私たちもプレゼンに向けて練習を始めていきます。

全員が定例会に集まることが難しく、揃っての練習があまりできませんでした。
そこが唯一の悔やまれる点かと思います。それぞれの担当の部分を当日までに仕上げるという形になり、いざ少し懐かしのひたちなか市へ!

このプロジェクトが始まり、初めてひたちなか市にフィールドワークをした際はとても暑かったです。
海浜鉄道に乗車し、磯﨑自動車に行くまでひたすら汗をかいていた時期もあれば、手袋が欲しくなるほどの寒さに悶える時期もありました。
学生のうちにこれだけ長く真剣に取り組める機会があることにとても感謝しています。

締めのモードに入ってしまいましたが、報告会はこれからです。

会議室に入ると、市役所の方が忙しそうに準備を進めてくれていました。
またそのセッティングが、多くの大人の方が活動報告を聞きに来られる、と想像させます。
より一層緊張感が増しますが、「とりあえず話しきる」「この貴重な機会も楽しむ」この2つを意識し、ついに本番を迎えます。

発表は滞りなく進み、中盤で流したTikTokの動画に関しても評判が良かったと感じました。

地域イベントコースは終始楽しげにプロジェクトを進めたものの、創業祭1日目では壁に当たりました。
2日目の軌道修正と成功体験のストーリー、地域との関わり、SNS広報など、まさに活動の全てを伝えることができたと思います。

そして、ただの報告会に留まらず、ここで得た経験で今後地域にどのように向き合っていくか各々が考えを持てた機会になったのではないでしょうか。

この日の実践報告会をもって、ひたちなかBRIDGEプロジェクトの本編の活動はすべて終了しました。

ひたちなかBRIDGEプロジェクト 2023 実践報告会の動画が公開されました!

▲動画はこちらから!

また皆で足を運ぶとすれば、ハスラーの納車日でしょうか。
子を送る親の気持ちではないですが、やはりそこが気になります。

プロジェクトを終えて(感想)

佐藤優樹

大創業祭当日は、なかなか車が売れない状況の中、地域住民や社員の皆様からの激励がとても励みになりました。「絶対に売るしかない。この経験をものにする。」という気持ちで粘ってよかったです。
私たちは販売の一端しか貢献できませんでしたが、「売れた」という経験をさせてくださった皆様に感謝しております。

佐藤鈴華

磯﨑自動車さんとの関わりの中で感じたことはお客様の強い思い信頼関係が築かれており、その関係性をとても大事にしているということです。磯﨑自動車さんには大創業祭への参加やSNS運用など貴重な体験をさせていただき感謝しています。

鈴木啓太

私は地元についての理解を深めたいと考え、今回のプロジェクトに参加させていただきました。磯﨑自動車の方々に支えられながらプロジェクトの目標を達成することができました。ひたちなか市は地域に親しまれている磯﨑自動車があることによって成り立っていると感じました。

鈴木瑞葵

大学で社会福祉を学んでいます。
磯﨑自動車さんの行う事業を知ったり、車販売を通して、会社は人々が幸せな気持ちになる地域づくりを行うことができるという新たな視点を持つことができました。
ありがとうございました。

高日海羽

私はこの二日間を通して、車一台を売ることがとても大変だということを学びました。
また、ひたちなか市をもっと盛り上げたり、自分たちでSNSを運用するなど、とても貴重な体験をすることができました。
ありがとうございました。

難波旬

活動や現地フィールドワークを重ねるうちにひたちなか市が好きな街になっていました。“関係を築く”ことこそが居場所を作ることに繋がり、このプロジェクトではそれがどんな場面でも発揮されていたと感じています。

終わりに

私たちの試行錯誤の過程はいかがだったでしょうか。

約半年にも及ぶプロジェクトの中、毎週の打ち合わせや現地へ足を運ぶなど大変に感じることもありましたが、地域の方々と関わること、メンバーと一緒に一つの企画を作り上げること、車を販売すること等々、本当に貴重な体験をたくさんさせていただきました。

関わってくださった方々、本当にありがとうございました。

皆さんもぜひ、魅力あふれる「ひたちなか」に遊びに来てください!