国内ほしいもシェアNo.1! ほしいも専業メーカー『(株)幸田商店』の社長が語るこだわりと想い

栄養満点、優しい甘さと、しっとりとした触感が特徴の「ほしいも」。皆さんは、茨城県が国内ほしいもシェアの約9割を占めていることをご存知でしょうか?

今回私たちは、そんなさつまいもの産地、茨城県ひたちなか市を訪れ、ほしいも専業メーカーとして全国にほしいもを提供する『幸田商店』の鬼澤社長にインタビューを行いました。
ほしいも専業メーカーとしてのこだわりや、地域と親密な関わりをもっている企業ならではの想い、そして地域に関心がある学生へ向けた『幸田商店』の魅力などを伺いました。

社長インタビュー

――はじめに、『幸田商店』の魅力は何ですか?

鬼澤社長:常に挑戦していく姿勢をもっていることです。商品開発も販売においても、その姿勢を大切にしています。あらゆる世の中の変化や流行に対して柔軟にお客様に提供しています。

インタビューの様子

インタビューの様子

――『幸田商店』独自のこだわりはありますか?

鬼澤社長:ほしいもの原料となるさつまいも作りは、かなりこだわりをもって行っています。さつまいもは、「幸田農園」という自社農園で、土壌作りから行っています。ほしいもは他の加工食品と異なり、原料であるさつまいもの良さで出来が大きく変わってしまうんです。これからもこだわりをもってさつまいも作りを行い、更に研究していきたいと考えています。

――『幸田商店』では、ほしいも以外にも様々な商品を販売されていますよね。

鬼澤社長:はい。「健康増進と食の豊かさを提供する」という企業理念のもと、様々な商品開発を行っています。本社で扱っている商品の一つで、きな粉に大豆やアーモンド、黒ごまなどを組み合わせた「からだきなこ」があります。餅につけて食べる、という従来の食べ方に加えて、”きな粉を毎日食べましょう”というキャッチコピーをつけて、「万能調味料」としての新たなきな粉の提案を行いました。

「からだきなこ」シリーズ。2019年現在、黒ごまアーモンドきなこ、くるみ黒糖きなこ、ミックスナッツきなこ、など全8種類

「からだきなこ」シリーズ。2019年現在、黒ごまアーモンドきなこ、くるみ黒糖きなこ、ミックスナッツきなこ、など全8種類

さつまいもを使った菓子類は、ほしいもをつくるプロセスの中で出てしまう固いほしいもをパウダー化し、それを原料として作り始めました。

この地域は、ほしいもという名産品をお土産にしたものの商品開発が弱かったんです。「ほしいもだけではなくて、ほしいもの派生商品を作り、業界をにぎやかにしたい」という想いから、商品開発を行いました。現在は、コンビニや駅構内にこうした派生商品を置いてもらっています。今後も色々な商品を開発していこうと考えています。

「茨城県おみやげ大賞2016」では、最高金賞を受賞。商品のパッケージデザインもこだわっており、2012年には「茨城デザインセレクション」にも選出された。

「茨城県おみやげ大賞2016」では、最高金賞を受賞。商品のパッケージデザインもこだわっており、2012年には「茨城デザインセレクション」にも選出された。

――地域の名産品であるさつまいもを使用している『幸田商店』ですが、「地域との関わり」という面で、何かされていることはありますか?

鬼澤社長:ほしいもを通じて地域を活性化する、という目的で、「ほしいも学校」という取り組みを行っています。地域に住む人々にむけて、さつまいも・ほしいも作りの勉強会や、ほしいもアイデア料理試食会などを開催しています。

事務所の一角にある「ほしいも教室」。ほしいもに関する多くの資料が並んでいる。

事務所の一角にある「ほしいも教室」。ほしいもに関する多くの資料が並んでいる。

2011年の東日本大震災で、ほしいもの売り上げは4割落ち、産地の継続が危ぶまれました。当時全国で90%のシェアをもっていたので、それまでは「作れば売れる」という姿勢でしたが、震災をきっかけに「自分たちが変わらなければいけない」と強く感じました。そこから新たな事業を始め、いい意味でターニングポイントになったのではないか、と。

プロジェクトの一環で作成された冊子「ほしいも学校」。ほしいもに関する様々な情報が載っている。

プロジェクトの一環で作成された冊子「ほしいも学校」。ほしいもに関する様々な情報が載っている。

ほしいもは昔からこの地域の名産品であり、現在もこの地域に住んでいる多くの人々がほしいも産業に従事しています。このほしいも産業が衰退してしまうと、この地域に大きな影響を与えてしまうんです。そうならないように、ほしいも専業メーカーとしての責任をもちながら、これからも徹底した製造、品質管理を行っていこうと思っています。

――最後に、地域に関心をもっている学生へむけて、メッセージをお願いします。

鬼澤社長:『幸田商店』は、それぞれの方がもっている個性を十分に発揮することができる会社です。年齢、性別関係なく、社員の「やりたい!」という挑戦は、大歓迎です。

「今も昔も変わらず、地域とは深いつながりをもっている」と話す鬼澤社長

「今も昔も変わらず、地域とは深いつながりをもっている」と話す鬼澤社長

また、ひたちなか市は気候が良く、食も豊かで、とても魅力的な地域です。幸田商店だけでなく、地方で働くということは、「その地域と繋がる」ということです。企業についてだけではなく、その地域で暮らす人々の生活や食、自然についても関心をもつことが必要ではないか、と思います。

――鬼澤社長、お忙しい中ありがとうございました!

ひたちなか市の魅力について語る鬼澤社長

ひたちなか市の魅力について語る鬼澤社長

『幸田商店』は、常に新しいことに挑戦していくことで、社会の変化や流行を敏感に察知し、消費者に様々な商品を提供していることがわかりました。『幸田商店』について話している時の鬼澤社長の優しい笑顔、とても印象的でした!

また、鬼澤社長の、「地方で働くことは、〝その地域と繋がる″こと」という言葉が印象的でした。
地方での就職を考えるとき、企業についてだけでなく、その地域にも関心をもって魅力を探る、という視点をもつことが必要だと感じました。そうすることで、新たな出会いや、興味の発見があるかもしれません。

学生の私たちが感じた『幸田商店』の魅力

① 理念を守りつつ、変化する人々のニーズに答える柔軟性
『幸田商店』のほしいもには、ひたちなか市で丁寧に育てられたさつまいもが使われています。そうして作られたほしいもは、今も昔も変わらず多くの人から愛されています。その裏には、会社の理念は守りつつも、変化し続ける社会の流行や人々の好みを分析し、新たなことに挑戦していくという姿勢がありました。そうすることで、いつの時代も人々が求める商品を提供していたのです。

②地域との強い絆
ひたちなか市でのほしいも産業の歴史は長く、現在でも多くの人が従事しています。『幸田商店』で働く方の多くもこの地域で暮らしており、『幸田商店』とひたちなか市との間で、長年築かれてきた強い繋がりを感じました。

③ アットホームな労働環境
地域で暮らす方に加え、『幸田商店』では、性別、年齢、国籍関係なく、様々な人が働いており、明るく、和やかな雰囲気だという。なかには、先代の社長の頃から従事している方も。「彼らは私よりもベテランだよ」と微笑みながら話す社長の表情から、社員への愛情が伝わってきました。

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