茨城県ひたちなか市にある那珂地区は、全国生産量の約9割を占める日本一のほしいも産地です。私たちが訪れたのは、ひたちなか市にほしいも生産工場がある『幸田商店』です。『幸田商店』では、ほしいもはもちろんのこと、ほしいもを用いたお菓子など、常に新しい商品の開発・製造に挑戦しています。今回は、『幸田商店』で就業体験を行った私たちが、その具体的な仕事内容と『幸田商店』で働く魅力を、学生ならではの視点で発信していきたいと思います!
会社の基本情報
業種:食料品製造卸売業
住所:茨城県ひたちなか市平磯町1113
設立年:1974年5月4日
代表取締役社長:鬼澤宏幸さん
体験スケジュール
それでは、ここから『幸田商店』での就業体験内容をお伝えしてきます!
『幸田商店』の事務所へ。工場はK1工場からK8工場まであり、『幸田商店』の事務所はK4工場の2階にあります。
まずは、会議室で管理部総務経理課の課長から、各種商品のこと、会社の業績や企業理念について説明を受けました。
写真の商品は、ほしいもを生地に練り込んで作られた「ほしいも屋さんのほしいもせんべい」です。 “茨城の「おいしい」”を使って作られた「おみやげ」をテーマにしたコンテストで、2019年度の入賞を受賞しました。その他にも会議室には、『幸田商店』の自慢の商品がたくさん並んでいました。
さつまいものシーズンでない時期は、冷凍保存しておいたほしいもを運び、それを解凍することで、商品にしています。そうすることで、年中ほしいもを出荷することが出来るのです。
製造エリアを清潔に保つため、工場内はインターロックの自動ドアで、片方のドアが完全に閉まらないと次のドアが開かない仕組みになっています。工場内は空調が効いていて、快適でした!
製造エリアに入る前に、作業着に付着した髪の毛やほこりを取ります。初めて着る作業着に、私たちはワクワク!
ほしいもの選別
パック詰め
グラムの確認
脱酸素剤の投入
パック密閉
賞味期限の印字
箱詰め
今回、私たちは①パック詰めと②検品を体験しました。
午前中は、パック詰めを体験!
体験時は夏だったので、冷凍庫から冷凍保存されたほしいもを運び、解凍して商品にします。運ばれたダンボール箱を開けると、袋の中にすでにスライスされたほしいもが入っていました。
パック詰めの最初の工程は、「ほぐし」という作業です。
「ほぐし」では、冷凍保存をしているためにくっついてしまったほしいも同士をはがします。それと同時に、不良品の選別をします。鳥につつかれていたり、木くずが付いていたり、繊維の多い芋は不良品として取り除きます。
さらにここでは、シロタと呼ばれる白い部分の多いほしいもと、クロタと呼ばれる黒い部分の多いほしいもも不良品として、ひとつひとつ丁寧に分けていきます。例として、写真の右にあるのが通常のほしいもで、左にあるのがシロタです。
「ほぐし」の作業が終わったら、パック詰めの作業に移ります。
ほしいもの大きさが毎回違うため、私たちは並べるのに少し時間がかかりました。しかし、働かれている方が並べ方のコツも優しく教えてくださり、上手に並べられると楽しく、あっという間に時間が経ちました。
検品では、パック詰めされたものをひとつずつ計量器で測り、大幅な誤差がないかを確認します。この工程が、ほしいもを直接確認できる最後の作業になるので、検品をされている方は少しの傷も見逃さないよう慎重に作業をされていました。
そして最後に袋を密閉!
機械にまっすぐ通さなくてはならず、密閉作業は難しいということで体験できませんでしたが、ここまで手作業だということに驚きました。
検品は手作業で確認することで、細かな不具合も見逃しません。ですが、時間がかかり、多くの人手が必要になります。検品前のケースが溜まってしまうこともあります。その時は、密閉作業をされている方も集まって、検品作業の手伝いをされていました。働いている方同士が、お互いに積極的に連携をして働かれているのだと感じました。
私たちの就業体験は検品まででしたが、実際はこの後に出荷準備の作業もあるそうです。
まとめ
私たちは「工場勤務」と聞くと、暗いそうなイメージを持ちがちですが、『幸田商店』の工場はそうではないように感じました。印象的だったのは、『幸田商店』で働かれている方々が、社員の方もパートの方も明るく、お互いに支え合って和気あいあいと働かれていたことです。私たちが体験している間も、とてもなごやかな雰囲気で、たくさん話しかけてくださいました。力仕事よりも繊細な手作業が多い環境で、性別を問わず誰でも働きやすい職場だと感じました。
最後に、私たちから読者の皆さんにメッセージがあります。
皆さんは、身近にあるコンビニの商品を、どこの会社が作っているかを気にしたことはありますか?
『幸田商店』のように多くの商品を作っていても、名前を知られていない会社は多くあります。ですが、名前を知られていない会社でも、毎日、私たちの見えないところで働いている方がいます。私たちは、今回そんなものづくりに携わる仕事にスポットを当てて、ものづくりの現場で働くという選択肢を、読者の皆さんに伝えられていたらと思います。