都会の女子大生が島の企業でインターンシップをしてみた!〜劇的に変わった田舎への印象〜

海とみかんの島、周防大島(すおう おおしま)

山口県周防大島。瀬戸内海に浮かぶ島です。島の形から、金魚島とも呼ばれています。
山口県最東部、空の玄関口となる岩国錦帯橋空港のある岩国市から車で約40分ほどです。本土と島は大島大橋という橋で繋がれており、車で島に行くことができます。
現在人口は約17,200人で、かつては日本一高齢化している島と呼ばれていましたが、近年UIターン移住者が多く、人口は増えています。
周防大島の海はとても綺麗でした。島を訪れた日はあいにくの大雨でしたが、大島大橋を渡って島に入ると、常に海が見えているという環境が好きになりました。晴れていても曇っていても、澄んで見える海は毎日見ても飽きることはありませんでした。

瀬戸内海は穏やかで、とても静かです。遠くには瀬戸内海の島々がぼんやり見えます。その景色はとても神秘的で、古事記の日本誕生の光景を連想させます。

夕暮れの空です。穏やかな風と波の音が心地よいです。

(朝日です。5時半ごろ、太陽が昇ってすぐの景色です。この日は少し風が強く、波がいつもより高かったです。)

(道端のお花。後ろに見える川は、海につながっています。潮の満ち引きによって川底が隠れたり現れたり…。島にいる時は毎日どこにいても海を感じていました。)

周防大島では以前からみかん産業が盛んで、山口県内に出回っているほとんどが周防大島産のみかんだそうです。
私の大島滞在の時期はみかんの季節ではなかったので、みかんを見ることはありませんでしたが、お土産としてみかんのクッキーやみかん蜂蜜が売られていました。みかん蜂蜜というのは初めて聞いて珍しく感じたので買ってみました。優しい甘さとほのかに香る柑橘の匂いが特徴的です。

都会育ちの私がなぜ瀬戸内海の島に?

生まれた時から都会暮らしで、この夏周防大島に行くまで、都会を離れて生活をしたことがありませんでした。
中学3年生の時、災害やテロに備えて危機管理を専門に行う省庁を持つ副首都を首都圏 以外の他地方に設置するという「副首都構想」を聞いてまちづくりに関心を持ったことをきっかけに地方に関心を持つようになりました。
高校1年生の春休みに『里山資本主義』を読み、イメージしていた地方と違うその実態に衝撃を受けました。それまで抱いていた地方のイメージは、閉鎖的で、田んぼがあって、交通の便が悪くて、物が少なくて不便で、人が少なくて、そのため最新の技術はあまり普及していない環境……(今思えばかなり偏見!)というようなものでした。

けれども、『里山資本主義』で紹介されていた事例はどれも世界レベルで新しい技術を活用して、快適かつのどかで豊かな生活が存在するのを知ったとき、私はとてもときめきました。「目的のための手段が目的となってしまって、そのせいで忙しい毎日を送るより、自分の理想や人生の目的のために生活を営むってとっても素敵だ!」だと思ったのです。
「まちづくり、地域づくりに関わったことが勉強したいなあ」と考え、まちづくりのために複合的な視点を得たいと思い、大学で社会学を専攻しようと大学受験を頑張りました。大学に入って、たくさんの本や授業を受けることで新しい知識を得ることができました。しかし、「興味のあることについてはたくさん勉強したけど、どうやって行動を起こせばいいのだろう」「知識を実践に活かす方法はないだろうか」「このまま何をすればわからないまま立ち止まるのは怖い」と悩み始めたとき、ふと閃きました。

「今の私の原点に帰ろう」

「『里山資本主義』を読んで勉強を始めたのだから、紹介されていた地方の企業に行って見ればいいんだ!」

というわけで、夏休みを利用して『里山資本主義』で紹介された中で最も印象に残っていた、山口県周防大島町にある瀬戸内ジャムズガーデンにインターンシップをしてきたのです。

インターンシップをした企業、瀬戸内ジャムズガーデン

(松嶋ご夫妻たちとお店の前で)

オーナーの松嶋匡史さんは京都出身で、地方電力会社・東京でのベンチャー企業に勤務をされていました。ジャム屋を始めようと思われたきっかけは、新婚旅行で訪れたフランス・パリのコンフィチュール店でした。かわいらしい瓶に入って、綺麗な色をしたジャムに惹かれ、30個もジャムを購入したそうです。帰国後もジャムに夢中で、ついにジャム屋をはじめる決心をしました。

里山資本主義の現場で見たこと

インターンシップでは、農業・果実処理・販売営業など、多くのことを体験しました。その中でも特に印象的だったことを3つ紹介したいと思います。

見せつけられた地域力

一つ目は、ジャムの原材料となる果実を届けてくださる農家さんとのやり取りです。
今回立ち会わせていただいたのは、栗農家さんでした。ただ果実を入荷して代金を支払うのではなく、今年の果実の出来具合がどうだったとか、収穫量はこれくらい見込めるとか、加工に使うため見た目よりも甘さが気になる、など「果実」を買うというやりとりの際には多くの情報が交換されるということを目の前で見ることができました。私が農家さんとの商談に同席させていただいた時に、農家さんから「生食として販売できない栗をペーストにしているが、そのペーストの利用方法はジャムズガーデンにはないか?」という話題がありました。このように、ジャムの原料のこと以外にそれぞれの立場ならではの悩みを相談・共有していることに、協力してお互いの利益を考えようという地域力を感じました。

思わずほっとするあたたかさ

二つ目は、ジャムの販売業務です。メディア露出が増えてきた瀬戸内ジャムズガーデンには、多くのお客様がジャムを求めて来てくださいます。噂に聞くジャム屋がどんなお店なのか、どんなジャムが売られているのか、興味を持ってお店を訪ねてくださいます。そのようなお客様の期待に応えるべく、店内の雰囲気のコンセプトを統一したり、丁寧な接客を心がけたりするなど、温かみのある「おもてなし」を大切にしているように見受けられました。
(焼きジャムトーストと、マーマレードジンジャーエール)

(インターンシップを終えてお客さんとして訪れた時。素敵なソファでゆっくりとくつろぎました。店内には本棚があるので、好きな本を読めます。)

(ジャム販売をしているブティックと呼ばれるブースです。)

フランス語であるその名前は、専門性の高い小さなお店であることを意識しているようです。オーナーの松嶋さんがパリで得たインスピレーションが感じられるような雰囲気が伝わってきます。お客様に素敵な衣装・小物を試着して自分に合った品物を選ぶみたいにジャムを選んでいただけるように、こだわりのジャムを紹介しています。そのような夢のあるコンセプトの中で色とりどりのジャムが詰まった可愛らしい瓶がたくさんの種並んでいるのはとても綺麗です。試食ブースもあるので、気になったジャムは味見ができます。


(木のぬくもりが感じられる店内です。カフェは靴を脱いで上がるので、落ち着いてくつろぐことができます。上階は貸しギャラリーになっていて、期間限定の個展が開かれています。焼き物・絵本・イラストなど様々な作品が展示されています。)

6次産業の強み

三つ目は、インターンシップを通して生産・加工・流通(消費)の現場を目で確められた点です。1次産業・2次産業・3次産業を実際に見て学ぶことは、6次産業をやっている企業のインターンシップの利点であるように思います。都市で生活をしていると、消費者としての立場を経験するばかりですが、モノの流れを追い、その実態がどのようであるかを把握できたことはとてもいい経験になりました。また、『里山資本主義』で読んだ地域力の強い側面を実際に自分で確かめることができ、嬉しく思いました。

「一人一人に資質や可能性は小さくても、その繋がり(チーム)を造ることにより新しい価値を生み出すことができる」と、瀬戸内ジャムズガーデン代表の松嶋さんはおっしゃっています。お互いの経験や能力を活かしながら様々なことに挑戦し、地域力を高める試みを熱心にされている素敵な企業と出会うことができて本当によかったです。

(白桃の下処理をしている私です。手を動かしながら、皆でいろんなお話をしました。)

私が考える、ローカルの魅力的な職場

瀬戸内ジャムズガーデンには短時間正社員制度があり、子育てや介護・自分の好きなこと両立しやすい環境が整っています。また、何よりも皆が楽しく生活しているということが一緒に働いていて伝わってくる環境が素敵でした。ただ働くことが生活の目的なのではなく、「生きるために働く」ということの重要性を学びました。
そして、職場の近くに自然がある、ということはとてもリラックス効果があると思いました。(普段自然に触れなさすぎるからかもしれません笑)

(この日は潮がいつもより引いていた日で、ジャムズガーデンの前の海で岩牡蠣をとりました。)

(蒸してポン酢をかけていただきました!歯ごたえがよく、身も貝柱もとっても味が濃かったです。)

働くこと 生きること

「夢や人生の目的のために働く・生きる」の素晴らしさ、働くことの目的を明確にすることで人生を心からエンジョイできるということを学びました。地に足がついている生活の安心感は、私が都会で味わったことのないものでした。自分の住んでいた環境とは異なるところで暮らせば、考え方も違います。生活の動作ひとつとっても、その行為に付随する思考は異なります。一種の異文化交流だと思って飛び込んでみて、すべてが新鮮で楽しかったです。

正直に言うと、田舎は排他的だというイメージを抱いていました。皆が知り合いで、繋がりがあって、絆があって…都会ではそういうような地域の縁を感じないからかもしれません。
田舎的人間関係は閉鎖的で面倒くさいという話も聞きますが、人間ひとりでは生きていけない、と確信できました。
多種多様な生き方をしている人たちとの出会いや、素敵な海が見える暮らし、朝道ですれ違うおばあさんと挨拶をする時の温かい気持ち…本でしか知り得なかったこと以上に地方の魅力を実感することができました。

まだまだ自分の道の進み方は決まらないけれど、周防大島での滞在は「どのように生きるか」ということをしっかりと考えるきっかけになりました。「楽しく生きる・楽しく働く」ことは見失ってはいけない大切なことだと気づかされました。

知らないことを知る勇気

気になる場所がある、行ってみたいと思っている地域がある、と思ったら、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してそこを訪れてみてください。

百聞は一見に如かず。少しでも興味があるなら、目でみて、心でみて、匂いをかいで、肌で感じて、土を踏んで、そこにいる人たちと話してみるべきです。

きっと、衝撃と感動と新しい発見があるでしょう。

(明るくて元気なスタッフの皆さんと)

インターンシップ先基本情報
企業名:瀬戸内ジャムズガーデン
所在地:〒742-2804 山口県大島郡周防大島町日前331-8
HP:http://www.jams-garden.com

「地域にかかわる」を考えるインターンシップ

都市と地方をつなぐ架け橋を目指して、地域プロモーション事業を展開する株式会社ココロマチのインターンシップ。テーマは、地域にかかわってはたらく「ローカルキャリア」。チームでのWEBサイトの運営とリアルな場づくりを通して、「地域とかかわる仕事」を学びます。