最近何かと耳にするようになった“リノベーション”。古い建物に手を加えることで落ち着いた印象を作り出すことができるため、カフェやゲストハウス、オフィスとして利用する人が増えてきています。その流行の背景を調べると、リノベーションとまちづくりが大きく関わっている事例が数多く存在することが分かりました。今回はその中でも厳選した3事例を紹介したいと思います!
リノベーションとは?
リノベーションとは、あらかじめ存在する建物に手を加えつくり替えることです。
元ある状態から、良い方向・使いやすい方向に変化させるという意味もあります。
リノベーションというワードを耳にするようになったのは、ここ最近ではないでしょうか。タイトルにも書いたように、インスタグラムで「リノベーション」と検索をかけると、なんと94万件もの投稿が表示されます。Googleトレンドをもとに、「リノベーション」という言葉の検索人気度数を調べてみると、ここ10年で倍以上に増えていることが分かります。(数値は、特定の地域と期間について、グラフ上の最高値を基準として検索インタレストを相対的に表したものです。100 の場合はそのキーワードの人気度が最も高いことを示します。)
流行の背景として、人口減少や高齢化による空き家問題の深刻化が挙げられます。総務省「平成25年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は820万戸(住宅総数6,063万戸)であり、約7件に1件は空き家という計算になります。
その解決策として、コスト面、環境面に配慮されたリノベーションが人気になるのは、理にかなっていると言えるでしょう。
今回は、地域との関わりの強いリノベーション事例を3つ選んでみました。リノベーションされた建物と、それらがどのように地域と関わっているのかを説明していきます。どれも魅力的な場所で、きっと実際に行ってみたくなるはずです。
全国のリノベーション事例
長野・門前暮らしのすすめ・空き家見学会
住民の人口減少・高齢化が進み、空き家が目立ち始めていた長野市善光寺周辺。
そんな中、2009年に地域で編集活動を行っている『ナノグラフィカ』を中心として「長野・門前暮らしのすすめ」http://monzen-nagano.netというプロジェクトが始まりました。
(HPより)
その活動の一つである「空き家見学会」。市・県内外から集まった参加者(多くは30~40代)と5、6件の空き家を巡るという活動です。空き家を仲介してリノベーションする会社MYROOM代表、倉石智典さんが案内し、この見学会をきっかけに2010年の開業から5年ほどの間に50件ほどの空き家が利用させるようになりました。
・1166backpackers
1166は、オーナー飯室織絵さんの苗字が由来です。
世界各国からの旅人だけでなく地元民も集まるゲストハウスです。
・ナノグラフィカ
大正時代の町家が改装され、編集室・ギャラリー・喫茶室として利用されています。
住所:長野県長野市西之門町930-1
TEL:026-232-1532(w/fax)
Instagram:@nanographica2017
喫茶室・ギャラリー金斗雲
開店日:要問合せ
こちらの小冊子は善光寺周辺のリノベーションスポットを紹介した『続・古き良き未来地図』。長野を愛する友人が実物を持っていたので見せてもらいました。優しいタッチのイラストとともに、80件のリノベーションされたカフェやお店を知ることができます。
『続・古き良き未来地図』(企画・制作 オープンアトリエ『風の公園』2018年発売)
真鶴出版
川口瞬さん、來住友美さんの二人で運営している真鶴出版。一日一組限定の宿泊施設と出版業を合わせて行っています。開業から4年で550名以上の方が真鶴出版に宿泊し、真鶴出版をきっかけに14世帯35名が真鶴に移住したそう。
また、真鶴のひものと交換できる「ひもの引換券」がついた『やさしいひもの』、真鶴の福祉の方向性を策定した「地域福祉計画・地域祉活動計画」を分かりやすいイラスト付きでまとめなおした『小さな町で、みんなで生きる』といった地域に関する出版活動も行っています。
出版社兼ゲストハウス
宿泊ゲストには、まち歩きツアー付き。
住所:神奈川県足柄下郡真鶴町岩217
MAIL:info@manapub.com
沼垂テラス商店街
新潟県の信濃川付近に位置する、沼垂(ぬったり)町。かつて港町として栄え「沼垂市場」として活気に満ちていた場所が、高齢化などが進みシャッター通り化していました。
2010年、若者を中心としてまちの再生が始まり、2015年春に旧沼垂市場のすべての長屋が店舗として開業し、『沼垂テラス商店街』として新しく生まれ変わりました。2017年にはこの取り組みが評価され、「グッドデザイン賞」を受賞されました。
・ルルックキッチン
まちの再生の出発地点となった、手作りのお惣菜とスイーツのお店。
『沼ネコ焼』は沼垂テラス名物として、人気を博しています。
住所:新潟県新潟市中央区沼垂東3-5-22
TEL:大佐渡たむら:025-245-6789/テラスオフィス:025-384-4010
※店舗に電話はありません。
MAIL:ruruck_kitchen@yahoo.co.jp
営業時間:月~金曜 10:30~14:00、15:00~18:30(11月-2月末までの冬期間は、~18:00まで)第1・第3土曜 10:30~17:00
・CAFÉ&SHOP ISANA
オリジナルメイド家具とコーヒー、染め織り布の店。
綺麗な青い壁が目を引きます。
住所:新潟県新潟市中央区沼垂東3-5-22
TEL:080-5029-2941
営業時間:10:00〜18:00
定休日:火・水曜日
まとめ
それぞれの事例は、リノベーションされたという共通点を持ちながらも、まちとの関わり方はかなり異なっていました。中古物件・リノベーションなどと言ったキーワードにが気になった方、チャンスです。空き家問題はまだまだ深刻であるので、アプローチ方法は無限大です。私自身、まちを良い方向に変化させた数々の事例にワクワクしっぱなしでした。
また、今回記事を作成する中で、私たちが実際に行くことが重要であると気づかされました。主にゲストハウスやカフェなどを紹介してきましたが、これらは人が集まる場です。実際に行ってみて、地域の人と関わることやご飯を頂くことがその土地の活性化につながることが分かりました。これからは、今回のような素敵な場所を知ったら、実際に足を運ぶことを大切にしていきたいと思います。