注文書一つで製品ができる!?茨城県ひたちなか市の『(株)菊池精器製作所』に一日密着【体験レポート】

こんにちは。ひたちなか市と(株)ココロマチの協働インターンシップに参加させていただいた小森です。今回は、ひたちなか市の『菊池精器製作所』にお邪魔させていただき、丸一日職場を体験させていただきました。私自身文系の学部に在籍しており、工学系の学問とは無縁でしたが、体験の内容や菊池さんのお話はとても興味深く、純粋におもしろい内容でした。この記事を読んでいるみなさんがもっているであろう、機械や工場の堅苦しいイメージを少しでも払拭できたらと思います。

菊池精器製作所とは?

茨城県ひたちなか市に工場を持つ、精密機械の製造メーカー。業務内容としては、①精密板金部品加工(金属を切断したり曲げたりする)、②精密切削部品加工(削る)、③電子機器の組み立ての三つを行っていて、部品の加工から、組み立てまで一連の流れすべてを自社で請け負っているのが大きな特徴の企業です。

①金属板

②製品の製造過程

③完成した製品

ただの金属板が様々な工程を経てこんなにも複雑な精密機械がつくられるんだ!!

近年需要が伸びている電子顕微鏡が生産のメインです。
精密機器の製造するための高度な技術を追求し、顧客の信頼を得るとともに、従業員へのケアや教育にも力をいれています。また5S(生産現場の整理・整頓・清掃・清潔・躾)も徹底し、従業員が働きやすい環境づくりを目指しています。

工場内の様子

工場内にラインが引かれているため、きれいで清潔感がある

体験スケジュール・体験内容

10:00 出社
代表取締役の菊池昭宏さんから菊池精器製作所の説明を受ける

説明を受ける様子

企業の説明を受けている様子

印象的だった話として、従業員への教育についてのお話がありました。毎朝朝礼を行うのですが、従業員全員が常備している冊子があり、その冊子には一日ごとに誰かが体験したこととそれを通して思ったことなどが200字程度の短い文章で書かれています(朝日新聞の天声人語のようなものを想像してください)。その文章を毎朝従業員のみなざんで読んで感想を言い合うというような取り組みを行っています。この取り組みは、工学系の人は国語力が低く、文章を読めない人が多いという傾向に対し、それを克服し、文章から気づきを得て、従業員が内面的に成長できるようにということで実施されています。従業員の教育が、知識にとどまらず、内面的なものにまで行き届いていて驚きました。また、自社は子会社的な位置であり、売り上げの9割を日立系列の企業に依存していること、そこから脱却して医療系の製造にシフトしたいことなど、企業の今後についてまで、様々なお話をして下さいました。

11:00 工場見学開始

菊池社長と一緒に工場内を見学しました。

工場内の様子

工場内は工程別に建物が分かれており、まず私たちが見学した場所は、板金加工のエリアでした。加工をする際はほぼロボットが全自動で稼働しており驚きました。
金属板
製品の製造過程

板金加工を行うと、ただの板だった金属が、くりぬかれ、折り曲げられて、まったく別の部品へと変身を遂げます。

切削加工の現場
機械部品
金属を削る機械
説明を受ける様子

次に切削加工の現場に行きました。写真右上のように大きさ約5~15cmほどの部品を磨くことで作ります。写真左下のしるしをつけた部分では実際に金属が削られている様子を見ることができました。金属に様々な角度から水・油とともに圧力をかけることにより熱くなりすぎるのを防ぎながら加工が行われています。

組み立ての現場では、作業台があり作業員の方が椅子に座って部品の組み立てを行っていました。また、隣には組み立てられた電子顕微鏡などが正常に作動するか、規格の範囲であるかチェックする場所もありました。組み立てを行っている方たちはベテランの方が多く、その多くが日立グループを定年退職し、シニアとして働いているそうです。

12:00 お昼休憩
お昼ご飯も菊池社長と一緒させていただきました。

お昼のお弁当
13:00 電子顕微鏡を実際に体験
電子顕微鏡について実際の部品や組み立てられたものを見せてもらいつつ、説明をしていただきました。
電子顕微鏡の検査場は清潔に保つために、普段の作業着ではなく、白衣と帽子を着用することが義務付けられているそうです。

電子顕微鏡は対象物に電圧を当てて、その反射によって像を認識するというような顕微鏡で、私たちが小学校、中学校で使ったことがある光学顕微鏡とは異なり、より精密に対象物を見ることができます。

写真で示した部分に観察したいものをのせます。高さが3種類あるのは、倍率を変化させるためです。また、「反射電子」と「二次電子像」の二種類の見え方ができるのも特徴です。

実際に上の写真の赤で示した部分を観察してみたところ、肉眼ではただ茶色に塗られてるという程度でしかわかりませんでしたが、電子顕微鏡では碁盤目のように見えました。各碁盤の長さは約25μmでした!肉眼との差に驚きました。

電子顕微鏡で見え方
14:00 菊池精器製作所を出発

菊池社長と普段から一緒に働いている他の企業の社長さんのもとへ連れて行ってくれました。

14:15 エムテックに到着
14:20 エムテックについての説明

株式会社エムテックの代表取締役の松木徹さんから企業の説明をお聞きしました。

株式会社エムテックでの説明
株式会社エムテックは自動車やポンプの部品を製造していて、高精度が世界レベルであり、トップレベルの水準である。9・10月に茨城県で国体が開催されるので、その時に使用するトーチを菊池精機器製作所とエムテックで共同制作をするとのことで、そのトーチを握らせてもらいました。

トーチを持っている一澤君

トーチを持つインターン生

15:20 エムテックを出発
15:35 菊池精器製作所に到着
15:40 電子顕微鏡を実際に自分で使ってみる
電子顕微鏡についての説明を受けて、今度は自分で顕微鏡を触ってみることになりました。顕微鏡を使って、なんと自分の髪の毛を観察してみました!
髪の毛を引き抜いて、プレパラートに固定して、顕微鏡に挿入して、パソコンの画面で自分の髪の毛をさがして、ピントを合わせてみると、、、

電子顕微鏡を使う様子
これが私の髪の毛です。傷んでいることもなく、健康的でした。倍率や見え方や電圧を変えると髪の毛の見え方が全く異なっていて、おもしろかったです!(笑)

16:00 電子顕微鏡終了
菊池社長にあいさつをして、解散

学生が見た!菊池精器の魅力!

☑ 注文書一つで商品がつくれる!
密機械の生産をする面で見ると、注文者の負担が減り、信頼を得やすいと思いました。これは菊池精器の強みだと思いました。

☑ 社長・従業員さんの人間性!
菊池社長はお忙しい中工学について何も知識がない私たちにほぼ丸一日同行してくださいました。また、お弁当とお茶は事務の方が事前に用意してくださり、私たちとすれ違うと必ず従業員の方が声を掛けてくださり、さらに電子顕微鏡の使い方の説明では、これでもかというほど丁寧に1から教えてくださいました。社長や従業員の方々のお心遣いに本当に感動しました。これは、従業員への手厚い教育によるものだと実感しました。

☑ 工場がきれい!
工場ではないのでは?と疑うくらいきれいな工場でした。製品の質はもちろん、従業員さんにとっては働きやすい環境だと思いました。私もこの工場なら働きたいと思いました。

まとめ

この記事を読んで下さったみなさんは、工場、工学のなんとなく堅苦しいイメージが和らいだでしょうか。菊池精器は技術力ではもちろんのこと、社員への教育や環境作りまで配慮されている点で、とても魅力的な企業だと感じました。この記事を読んで下さった皆さんの、工場・工学といったなんとなく堅苦しいイメージが少しでも和らいでいたら幸いです。
最後に、お世話になった菊池社長、従業員のみなさま、お忙しい中ありがとうございました

関連記事

「工場」というイメージを覆す!?『(株)菊池精器製作所』で働くということとは