コーヒーかすから始まる循環の輪 ― ひたちなかBRIDGEプロジェクト2025 地域×アップサイクルコースの実践 ―

学生と地域が協力し、ひたちなか市の魅力発信や地域課題の解決に取り組む実践型インターンシップ【ひたちなかBRIDGEプロジェクト】。
2025年度生は、【地域×商品開発コース】と【地域×アップサイクルコース】の2つのチームに分かれ、企画立案から実施までを行いました。

私たち【地域×アップサイクルコース】は、約半年間にわたって試行錯誤を重ねながら、資源の循環や地域の魅力をテーマにした取り組みを進めてきました。

本記事では、【地域×アップサイクルコース】が取り組んだプロジェクトの全体像と、活動の中で生まれた気づきや学びを、メンバーの視点から振り返ります。

メンバー紹介

メンバー紹介

〈すずきけんた〉

栃木県出身東京都在住 大学2年生

チームのリーダーとして、客観的な立場でみんなを支えてくれました。議論で不足している内容や決断に迷った時にスッとチームを牽引してくれる存在です!

〈いしげほのか〉

茨城県出身、在住 大学1年生

サブリーダーとして、高い協調性をもってチームをまとめてくれた他、話し合いでは積極的に意見を出してくれてチームの方向性を導いてくれました。

〈いまむらここみ〉

茨城県ひたちなか市出身、在住 大学1年生

広報担当として、しづきとともにSNS投稿、チラシの作成を担当してくれました。デザインのセンスはピカイチで、毎回ここみが作成してくれる広報資料にチーム一同ワクワクしていました。

〈こじましづき〉

茨城県ひたちなか市出身、在住 大学4年生

広報担当として、ここみとともにSNS投稿を担当してくれました。責任感が強く、一つ一つのタスクに対する真剣さはチーム1です!

〈はつせゆま〉

東京都出身、在住 大学3年生

書記担当として、事前資料の作成やミーティング、イベントでの各方面からの情報を丁寧にまとめ共有をしてくれました。入念な準備のもと、メンバーの意見を客観的にまとめ、裏からチームを牽引してくれました。

〈のじりはやと〉

長野県出身神奈川県在住 大学2年生

綿密で入念な準備を怠らない性格から、渉外担当として、内外部の関係者との窓口を担ってくれました。何事にも丁寧に取り組む姿勢が人一倍強かったです。

活動概要

プロジェクト内容について

本取り組みは、地域に存在しながら十分に活用されてこなかった資源を新たな価値へと転換し、持続可能な形で地域に還元する仕組みを構築することを目指しています。地域との関わりに関心を持つ大学生を中心に、株式会社ビオクオンおよび、Bio QUONの運営としいたけ栽培を行うキノコノゴエンの協力のもと、コーヒーかすを培地として育てたきのこを活用した商品づくりや、関連イベントの企画・運営に取り組みます。

加えて、参加者による体験レポートやSNSでの情報発信を行うことで活動の魅力を発信し、プロジェクトに共感する新たな支持層の拡大を図ります。

受入企業について

・ Bio QUON との協働

ひたちなかBRIDGEプロジェクト2025では、地域資源の循環をテーマに、オーガニックショップを運営するBio QUON(オーガニックカフェSHOP/Bio QUON/ひたちなか市(@bio_quon) • Instagram写真と動画)の協力のもと、活動を行いました。Bio QUONは、環境に配慮した商品や暮らしを提案し、地域内での資源循環や持続可能な取り組みを実践している企業です。本プロジェクトでは、共同して、地域のカフェなどから回収したコーヒーかすを活用し、これまで廃棄されがちであった資源を新たな価値へと転換するプロセスに取り組みました。また、私たち自身がアップサイクルへの理解を深めるため、Bio QUONの方々から実践に基づいたお話を伺う機会も設けていただきました。

・キノコノゴエンとの協働

キノコ栽培の専門的な知見については、キノコノゴエン様(キノコノゴエン(@kinokonogoen) • Instagram写真と動画)(以下敬称略)に多大なご協力をいただきました。キノコノゴエンは、地域資源を活かしたキノコ栽培に取り組む事業者であり、循環型農業や「食」を通じた地域づくりを実践しています。専門家の方々から助言を受けながら試行錯誤を重ねることで、アイデアを単なる発想にとどめるのではなく、「実行可能な取り組み」として形にしていくことに協力していただきました

アップサイクルについて

アップサイクルとは、本来であれば廃棄されるはずだった不要物や未活用資源に、新たな価値や役割を与え、元の用途以上の価値を持つ製品やサービスへと生まれ変わらせる取り組みのことを指します。単に資源を再利用するリサイクルとは異なり、素材の価値を高める点に特徴があり、廃棄物の削減だけでなく、環境負荷の低減や新たな価値創出にもつながります。

顔合わせ

8月8日に、阿字ヶ浦クラブにてメンバーの顔合わせを行いました。一部、対面で参加できないメンバーもいましたが、ビデオ通話を活用することで、全員が顔を合わせることができました。この時点では、アップサイクルに関する知識や具体的な活動のイメージがメンバー間で大きく異なっており、「何から始めるべきか」「自分たちに何ができるのか」を模索している段階でした。初対面同士ということもあり、会場には緊張や不安が入り混じった雰囲気がありました。その一方で、地域や環境に関わる取り組みに前向きな思いを持つメンバーが集まっており、対話を重ねながらチームとしての方向性を見出していこうという共通認識も生まれていました。

その後、受け入れ企業であるBio QUONの方々と初めて話し合いの機会を持ち、本プロジェクトの背景や目的について共有していただきました。プロジェクトの出発点となったのは、オーガニックショップ兼カフェであるBio QUONにおいて日常的に発生しているコーヒーかすの存在でした。Bio QUONでは、こだわりのオーガニックコーヒーを提供していますが、抽出後に残るコーヒーかすの多くは廃棄されているのが現状です。1杯あたり約10g発生するコーヒーかすと、1日平均106杯提供されるコーヒーの量を踏まえると、1日で約1kgものコーヒーかすが廃棄されている計算になります。こうした状況を受け、「このコーヒーかすを有効活用できないか」という問題意識が、本プロジェクトの原点であることを伺いました。

これらを踏まえ、合宿までの課題として、コーヒーかすの回収に協力していただける店舗の候補を探すことを決定しました。夏休み期間中は、各自が調査を行い、得られた情報をチーム内でスプレッドシートにまとめて共有しました。

合宿

8月27日から29日にかけて、阿字ヶ浦を拠点に2泊3日の合宿を行いました。メンバー全員で顔を合わせる機会は2回目で、初めは緊張した雰囲気がありましたが、3日間を共に過ごす中で徐々に打ち解け、信頼関係を築くことができました。この合宿の目的として、コーヒーかすの回収を協力してくれる店舗の開拓、コーヒーかすを使ったきのこの視察、今後の方向性の決定がありました。

1日目

1日目は、ひたちなか市の大谷市長へのご挨拶から始まりました。大谷市長からは、ひたちなか市の地理的特徴や地域の現状についてお話を伺い、私たちの活動が地域とどのように関わり得るのかを考えるきっかけとなりました。 

その後、BioQUONの店舗を見学させていただき、オーナーの河野陽子様よりオーガニック商品についてご説明いただきました。実際の店舗運営や思いを直接伺うことで、環境に配慮した取り組みが日常と結びついていることを強く実感しました。

BioQUONの店舗での様子

続いて、コーヒーかす回収の協力をお願いするため、 goodday in coffee 様、DOUBLE THREE DINER 様を訪問しました。goodday in coffee 様は、事前に本プロジェクトについて知ってくださっており、「ぜひ協力したい」とお声がけをいただいていました。そのため、訪問時にあらかじめ保管していただいていたコーヒーかすを回収させていただくことができました。また、DOUBLE THREE DINER 様は、ひたちなかBRIDGEプロジェクト2023の受入企業である関山楽器様が経営されており、BioQUONやキノコノゴエンの方々と以前から関わりがあったことから、コーヒーかす回収への協力を依頼したところ、快くご承諾いただきました。学生の活動に対して理解を示してくださる方々の存在に触れ、地域との連携の大切さを強く感じることができました。

コーヒーかすの実態を調査している様子①
コーヒーかすの実態を調査している様子②

2日目

2日目は、ひたちなか市でLPガス供給事業を中心にさまざまな事業を展開しているNEXT・カワシマ様からお話を伺いました。人との繋がりを大切にした仕組みづくりや目標設定の考え方など、私たちの活動においても活かせることが多く、大変学びの多い時間となりました。

午後からは私たちの活動にご協力いただいているキノコノゴエンを見学し、菌床からきのこが生産されるまでの工程について学びました。菌床づくりから収穫に至るまでの一連の流れを、メンバー全員が初めて知る機会となり、温度や湿度の調整、雑菌対策など、細やかな管理の重要性を実感しました。

コーヒーかすを混ぜ込んで菌床を作成している様子
コーヒーかすを混ぜ込んで菌床を作成している様子②
コーヒーきのこができる過程

その後は、コーヒーかすの回収に協力していただける店舗の新規開拓を目的として、2手に分かれ、キノコノゴエン周辺および合宿の拠点である阿字ヶ浦にて4店舗を訪問しました。その結果、cafe umino様を含む2店舗からご承諾をいただくことができました。また、808 Cafe Bar様については、訪問時に学生から直接お願いすることはできませんでしたが、後日キノコノゴエンからの依頼により、回収にご協力いただけることになりました。自分たちの言葉で活動の目的を伝えることの難しさを感じると同時に、思いが相手に伝わった際の手応えも実感できた一日となりました。

【合宿2日目に訪れた店舗様】

ひたちなか市周辺において、夏合宿の事前課題として各自がコーヒーかす回収に協力していただけそうな店舗を5店舗ずつ挙げ、その中から検討の上、訪問先を選定しました。選定した店舗(主に個人経営の店舗)を実際に訪問し、本活動への協力をお願いしました。

  • 喫茶店①様
    ⇒コーヒーかすの排出量があまり多くないとの理由から、今回はご協力を見送られるとのご判断でした。
  • cafe Umino様
    ⇒閉店後のお時間にも関わらず丁寧にご対応いただき、コーヒーかすの回収についても快く承諾してくださいました。
  • 喫茶店②様
    ⇒訪問いたしましたが、活動内容についてご説明する機会がなく、ご協力には至りませんでした。
  • 808 Cafe Bar様
    ⇒キノコノゴエンを通じた依頼により、本活動へのご協力をいただきました。
協力依頼のため店舗を訪れた様子①
協力依頼のため店舗を訪れた様子②

夜は3日目の中間報告の準備を行いました。午前中に活動の方向性について関係者の皆さまからいただいていたフィードバックを基に、現状から目標設定に至るまでをストーリー性を意識して整理するとともに、目標をより具体化・数値化することを心がけました。前日までは「コーヒーかすのアップサイクルを知ってもらいたい」という抽象的な目標でしたが、「1年で人・市・企業が協同し、ひたちなか市でコーヒーかすのアップサイクルを仕組化する」というより具体的な目標を掲げることで、今後の活動において自分たちが目指す方向性が明確になったと感じました。

3日目

3日目は、合宿を通しての中間報告プレゼンテーションを行いました。コーヒーかすの現状と課題、2日目に行った回収協力店舗の開拓の様子を周りの方へ紹介したり、コーヒーかす活用の方法の案を発表することができました。またメンバー間で短期的・長期的な目標や課題についてもプレゼンテーションを通して確認し、今後の方向性について認識をすり合わせることができました。今回の合宿を通じて、活動への理解と当事者意識が深まり、今後のプロジェクトに主体的に取り組んでいきたいという意識が強まりました。

合宿3日目アップサイクルチームでの集合写真撮影の様子

長期的目標の決定

3日間を通して、施設訪問やさまざまな体験を重ね、多くの人の考えや思いに触れてきました。これらの学びを踏まえ、私たちは1年後に実現したい未来として、「人・市・企業が協働し、ひたちなか市においてコーヒーかすのアップサイクルを仕組みとして定着させること」を掲げました。

  • 「人」とは、健康で安心して暮らすことを実現する主体として、まちづくりの中心を担う存在です。
  • 「市」は、住み続けられるまちづくりや循環型社会の実現を担い、環境整備などを通して人と企業の取り組みを支える役割を果たします。
  • 「企業」は、「つくる責任」「つかう責任」を意識しながら、持続可能な商品やサービスを提供する役割を担います。

これら三者がそれぞれの立場から関わり、支え合うことで、持続可能な地域の循環が生まれると考えました。こうした仕組みづくりを、私たちの活動の方向性を示す長期的な目標として位置づけています。

短期的目標の決定

設定した長期的目標を踏まえ、活動期間内の具体的な方向性として、私たちは、「Bio QUONでコーヒーきのこを目玉商品にする」ことを短期的目標に掲げました。

合宿2日目に行ったコーヒーを含む菌床を用いたきのこづくり体験で、「コーヒーかすできのこが栽培できるのか」という驚きと、廃棄されるはずだったものが食べられるものへと生まれ変わる過程に対する強いワクワク感を感じました。この体験で得た感動を地域住民の方々にも共有することで、資源活用をより楽しく、身近なものとして捉えてもらえるのではないかと考えました。さらに、その思いに共感した人々がBio QUONに集うことで、人と人とのつながりが生まれ、店舗の活性化にもつながるのではないかと考えました。こうした背景から、「コーヒーきのこを目玉商品にする」という短期的目標に至りました。

長期的目標と短期的目標を定めたことで、私たちは活動の方向性を明確にし、合宿後から定期的にミーティングを行い、具体的な行動へと移していきました。以下では、その取り組みを時系列に沿って記述します。

合宿後の活動

ミーティング

私たちは、オンラインミーティングを中心に話し合いを進めてきました。LINEやメールなどでは話し合いが活発に進まないため、できる限り顔を合わせて話し合う機会を設けました。初めてのミーティングでは役割を決めておらず、発言するメンバーが限られてしまいました。その反省を活かし、話し合いを円滑に進める進行役やミーティングの議事録を作成する書記などの役割を設けたことで、メンバー全員がミーティングに積極的に参加し、意義ある時間にすることができました。

コーヒーかす回収

私たちは、コーヒーきのこの菌床に使用するコーヒーかすを確保するため、まず回収活動から取り組みました。9月末には、合宿中にご協力の了承をいただいていたDOUBLE THREE DINER様、cafe umino様の2店舗に伺い、合宿後から約1か月間保管していただいたコーヒーかすを合計458g回収することができました。

回収にあたり、DMやSMSによる事前連絡をおこないました。事前連絡では、私たちの活動の内容や意義、回収後の用途をお伝えしました。また、実際に店舗を訪問し回収をおこなう際にインタビューを実施しました。当初は、プロジェクト期間中に継続的な回収を行うことや、回収ポストの設置によって協力店舗にコーヒーかすを持参していただくことも検討していたため、保存方法や回収方法、回収頻度などについて、店舗ごとに望ましい形を伺いました。

インタビュー内容①(保管方法、回収期間、回収方法、保管容器について)
インタビュー内容②(保管方法、回収期間、回収方法、保管容器について)

活動内容や私たちの思いについて直接お伝えする中で、本取り組みに対して賛同や共感の声をいただくことができました。この経験を通して、私たちの活動が地域に受け入れられる可能性や、今後の展開に向けた手応えを感じる機会となりました。

回収時の様子

短期目標の変更

私たちはオンラインでのミーティングを通じて、短期的目標を見直し、「コーヒーかすの活用方法を定め、アップサイクルを認知させるとともに、協力してくださる方々との関係性を構築する」ことを新たな短期的目標として掲げることにしました。

この見直しに至った背景には、

  • コーヒーきのこの安定的な生産が見込めず、必要な量を継続的に確保できるかが不透明であったこと
  • 商品の販売数を増やすことが長期的目標である「循環の仕組み化」に必ずしも直結しないのではないかという懸念があったこと

などが課題としてありました。議論を重ねる中で商品開発や売り上げそのものが目的になりつつあることに気づきました。そして、地域×アップサイクルコースとして担うべき役割は未活用資源の活用を多くの人に知ってもらうことで人と人との関係を育むことであると考え広報を重視した活動へと方針を変えました。

さらに、Bio QUONの河野陽子さんとの対話を通じて、生ごみ削減を起点に共感の輪を広げ、持続可能な街を構想したいという思いに共感し、コーヒーかすの活用を手段として捉え、循環型社会の実現を目指す方向へ目標を再設定しました。その結果、アップサイクルの認知拡大と関係性の構築を短期的目標としました。

この短期的目標を達成するために私たちが実施したこと「コーヒーかすの活用方法の決定」「認知のための施策」「関係構築について」の3つに分けて説明します。

コーヒーかすの活用方法の決定

私たちは、コーヒーかすの活用方法として、消臭剤やキャンドル制作など複数の選択肢について議論を行いました。その結果、実現可能性や持続性の観点から、「コーヒーきのこ」と「堆肥・コンポスト」の二つが有効であると判断しました。

「コーヒーきのこ」は、コーヒーかすをきのこ栽培の培地として再利用でき、付加価値のある食品として活用できる点に加え、Bio QUONおよびキノコノゴエンとの協力体制が整っていることから、実施可能性が高い方法です。

一方、「堆肥・コンポスト」は、特別な設備を必要とせず家庭でも取り組みやすく、コーヒーかすを加えることで消臭効果や植物育成への活用が期待できるなど、環境負荷の低減や環境意識の向上につながる持続可能な方法であると評価しました。

認知のための施策

アップサイクルの認知を広めるために、

  1. コーヒーフェスを通じて活動の存在や背景を広く周知すること
  2. 自主企画を通じて参加者一人一人にアップサイクルを体験してもらい、楽しさを知ってもらうこと

の二つを認知施策の柱として取り組むことにしました。この方針を定めた背景には、情報として伝えるだけでなく、実際の場や体験を通してこそ、アップサイクルへの理解が深まるのではないかという考えがあります。見る・触れる・参加するという体験を重ねることで、資源循環をより身近なものとして感じてもらえると考えました。また、コーヒーフェスでは、本来であれば廃棄されてしまうコーヒーかすを回収し、その後に実施する自主企画イベントへとつなげる取り組みも併せて行いました。認知の拡大にとどまらず、実際のアップサイクルの循環を生み出すことを意識した施策となりました。

①コーヒーフェス

私たちは、アップサイクルの取り組みをより多くの人に知ってもらい、地域に開かれたものとして広げていく必要があると考えました。特に、コーヒーかすのアップサイクルを一時的な活動として終わらせるのではなく、日常の中で選択できる身近な取り組みの一つとして捉えてもらうことが重要だと感じていました。そこで、コーヒーかすのアップサイクルの可能性を広く発信するとともに、自主企画イベントに向けたコーヒーかすを集めることを目的として、「ひたちなかコーヒーフェスティバル2025」に参加しました。今回のイベント参加は、ひたちなか市役所のご担当者の方から「出店を検討してみてはどうか」とご提案いただいたことがきっかけでした。地域のイベントに関わる機会を探していたこともあり、提案を受けた後、私たちから担当者の方へメールで連絡を行い、参加の可否や必要な手続きについて確認しました。

その後、市役所の担当者より正式に参加許可をいただき、準備を進めたうえで出店が決定しました。

またコーヒーかすの回収の協力に関して、前年度もコーヒーフェスに参加していた関東圏の店舗を中心に10店舗ほどInstagramのDMにて協力依頼をしました。当日は、イベント開催前に事前に回収用の袋を渡しに行き、1日目2店舗、2日目2店舗、計4店舗のコーヒーショップの皆さまにご協力いただきました。コーヒーかすの回収を実施し、合計15.6kgを回収することができました。地域の事業者と連携しながら資源循環に取り組む、実践的な機会となりました。また、会場では来場者の方々に向けてチラシを配布し、広報活動を行いました。その際、「このコーヒーかすが、きのこや堆肥に生まれ変わります」と直接説明を添えることで、多くの方が足を止めて話を聞いてくださり、アップサイクルへの関心の広がりを実感することができました。

「受け取りに行った際の印象」

  • どのようにコーヒーかすを利用するのかを疑問に思われた
  • コーヒーかすの受け渡しに丁寧に対応してくださり、全体的に協力的な雰囲気だった 
  • きのこ栽培に利用することを伝えた際、スタッフの方が興味を持って話を聞いてくださった 
  • 「そんな使い方があるんですね」と驚きつつも、「役に立ててよかった」と前向きな反応を示していただけた 
  • 活動内容について簡単に質問してくださり、地域の学生活動に理解があると感じた
当日配布資料
「コーヒーフェスティバル2025」より回収協力店舗から回収時の様子

②自主企画

「coffee loop labo」よりコンポストを使ったフラワーポット作りの様子①
「coffee loop labo」よりコンポストを使ったフラワーポット作りの様子②

私たちは、イベントの企画から運営までを自分たちで行い、11月30日に自主企画イベント「Coffee Loop Lab 〜コーヒーかすから、花が咲く日〜」を開催しました。「coffee loop lab」は、役目を終えたコーヒーかすを“廃棄物”として終わらせるのではなく、次の価値へとつなげていく循環(loop)を体験・発信する場であることを表しており、「lab」には、資源循環の可能性を実験し、学び、広げていく場所という意味を込めました。

副題の「〜コーヒーかすから、花が咲く日〜」における“花”は、コーヒーかすの再利用によって実際に育つ植物であると同時に、参加者一人ひとりの中に芽生える環境意識の芽を表しています。

本来捨てられてしまうものから花が咲くという体験を通して、環境への関心や行動のきっかけとなる「小さな芽」が育ってほしいという思いから、このようなイベント名にしました。

このイベントを実施した背景には、コーヒーフェスでのチラシ配布やSNS発信といった情報提供だけでは、アップサイクルの価値や面白さを十分に伝えることに限界があると感じていたことがあります。そこで、関心を持ってくれた方々に「知って、触れて、楽しむ」体験の場を提供することで、アップサイクルを「自分事」として身近に捉えてもらえるのではないかと考え、この自主企画イベントを実施することにしました。

イベント当日は、回収したコーヒーかすを活用した堆肥づくり体験や、きのこの試食会、きのこの詰め放題などを実施しました。きのこに関する企画は、参加者を集めるための工夫として提案したもので、Bio QUONの方々やキノコノゴエンの方々にご協力いただきながら実現しました。参加者の方々には、本来であれば廃棄されるはずだったコーヒーかすが、別の形で活かされていく過程を実際に体験していただきました。また、準備から当日の運営に至るまで、役割分担やスケジュール管理、参加者への説明などをすべて自分たちで行いました。チームで協力しながら一つのイベントを作り上げる中で、企画力や実行力の重要性を学ぶことができました。参加者の方からは、「コーヒーかすからきのこができるとは思わなかった」「とても意義のある取り組みだ」といった声も寄せられ、本活動の価値を改めて実感できる場を提供できたのではないかと感じています。

③広報活動

短期目標および長期目標の実現に向け、私たちの活動内容やアップサイクルへの理解を深めていただくことを目的に、広報活動に注力しました。主な取り組みとして、①チラシの作成・配布、②Instagramでの情報発信を行いました。

③−1チラシの作成・配布
実際に作成したチラシ

コーヒーかすのアップサイクル活動を広く知ってもらう手段として、チラシの作成と配布をおこないました。チラシでは「私たちの活動内容」「アップサイクルとは何か」「コーヒーかすの具体的な活用方法」を掲載し、身近な行動から持続的な社会創生に貢献できることを伝えています。
また、より詳細な情報へ円滑にアクセスできるようにInstagramアカウントのQRコードを掲載し、継続的な関心につなげる工夫を取り入れました。作成したチラシは、「ひたちなかコーヒーフェスティバル2025」や自主企画イベント「Coffee Loop Lab 〜コーヒーかすから、花が咲く日〜」にて来場者や地域住民の方々へ配布しました。配布時には口頭での説明を加えることで、直接コミュニケーションを取りながら理解を深めてもらうことができました。最終的に計133枚のチラシを一人一人に手渡しで配ることができ、アップサイクルへの認知向上に寄与できたと実感しています。

③−2 Instagramでの情報発信

より多くの方々に活動内容を届けるため、Instagramでの投稿にも取り組みました。8月の合宿から12月の最終報告会までの期間に計6回投稿し、総いいね数は233に達しました(2026年1月5日現在)。投稿内容は、メンバー紹介をはじめ、アップサイクルを通じたコーヒーかすの活用方法、参加イベントの告知や実施報告など多岐にわたります。写真を多く用いるとともに、情報量や構成を工夫し、活動への興味や親近感を持ってもらえるよう意識しました。実際にチラシ配布の場でその場でInstagramを閲覧してくださる方もおり、私たちの取り組みや想いが伝わっていることを実感できました。

関係構築について

本活動を通じて、協力してくださった店舗の方々や、イベント時に関心を持って話を聞いてくださった方々との間に、新たな交流が生まれました。しかし、現時点では、それらの交流が継続的な関係構築にまで発展したとは言い難い状況です。私たちは、協力者との関係をより深めていくため、オープンチャットの作成や定期的な交流の場の設置など、さまざまな方向性を検討しました。ただし、時間的な制約もあり、十分に実行することはできませんでした。以上の点を踏まえると、本活動における関係構築は、あくまで第一歩の段階にとどまったと評価するのが妥当であると考えています。

最終報告会

ひたちなか市長の前で最終報告をしている様子①
ひたちなか市長の前で最終報告をしている様子②

12月12日に最終報告を行いました。互いに対面で集まることが難しい状況の中、オンラインでのミーティングを重ね、何度もリハーサルを行ってきました。スライドの順番や構成、発表の仕方などについて試行錯誤を重ねたうえで本番に臨みました。その結果、練習の成果を十分に発揮することができ、集まってくださった参加者にとって非常に有意義なプレゼンテーションを行えたと感じています。

実際にコーヒーきのこを試食してもらっている様子①
実際にコーヒーきのこを試食してもらっている様子②

最終報告会でのプレゼンテーション終了後に、コーヒーきのこの試食会を行いました。合宿時に仕込んだコーヒーきのこが12月に収穫期を迎え、塩や醤油で味付けしたものを参加者の方々に試食していただきました。このコーヒーきのこは、プロジェクトの初期の段階では活動の中心に据えており開発まではできていたものの、商品化には至らなかったため、最終報告会にて試食として提供させていただきました。試食した方々から、「おいしい」「味が詰まっている」といった大変うれしい声をいただくことができました。この試食会を開催できたのは、BioQUON、キノコノゴエン、ひたちなか市の協力があってこそです。関係者の皆さまに深く感謝したいです。

Q.コーヒーキノコを実際に食してみていかがですか?

A.

  • もっちり肉厚、うまみたっぷりで、きのこの美味しさを存分に感じられました。ボリュームたっぷりで少し贅沢な気分になれる美味しいきのこでした!
  • 私はきのこが苦手なのですが、コーヒーキノコはジューシーで、思わず美味しい!と声に出てました唯一また食べたいとまで思ったきのこです!
  • 塩や醤油などは何もつけずに食べたのですが、きのこ自体の味がとても美味しかったです!

感想

個人の感想

〈すずきけんた〉
この半年の活動では、チームで試行錯誤しながら現地で取り組むことで目標を達成し、大きな充実感とともに、自分自身の確かな成長につながりました。方向性や活動内容に迷う場面もありましたが、最終的には役割分担が機能し、自分の強みや弱みを理解する貴重な機会となりました。また、アップサイクルやひたちなか市について多くを学ぶことができ、今後もひたちなか市の地域創生に関わっていきたいと強く感じています。

〈いしげほのか〉
プロジェクトを通じて、チームとして各自が自分の得意分野を生かしながら役割を果たすことの楽しさと重要性を実感しました。メンバーそれぞれの強みが発揮される場面に触れる中で、自分にはない視点や能力に刺激を受けると同時に、自身もチームに貢献できる存在でありたいという思いが強まり、成長への意欲が高まりました。自己理解を深めることができたことで、これまで漠然としていた将来像についても、今後の学生生活の中でどのような経験を積んでいくべきかを具体的に考えるきっかけとなりました。また、アップサイクルについて学び、実際に活動に取り組むことで、環境問題を単なる知識としてではなく、自分自身の生活や選択と深く結びついた「自分事」として捉えられるようになりました。

〈いまむらここみ〉
初めてのインターン参加で緊張の中、主に広報を担当しました。チラシの作成やインスタグラムの投稿を通して、どうしたら活動の魅力が伝わるのかを考えることの難しさとやりがいを学びました。また、実際にコーヒーかすの回収にも参加し、地域の方々と直接関わりながら活動できたことが、とても印象に残っています。普段は捨ててしまうものから新しい価値が生まれることを実感し、環境問題をより身近に感じるようになりました。今後も、ひたちなか市の未来の貢献に関わりつづけたいです。

〈こじましづき〉
活動では想定どおりに進まないこともありましたが、その都度チームで相談しながら取り組む中で、チームで協働することや柔軟に対応することの大切さに改めて気づきました。また、協力店舗の皆さまやイベントでお話しした方々が活動に関心を示し、温かい言葉をかけてくださったことが大きな励みとなりました。今後も地元であるひたちなか市のために自分にできることを考え、主体的に行動していきたいです。

〈はつせゆま〉
常に「自分はどう貢献できるのか」を主体的にかつ柔軟に思考する力が身につきました。行政や地元の方々の「新たなアプローチで街を盛り上げたい」という熱い想いと、メンバーの積極的な行動に刺激を受け、独りよがりな自分が多くの方と協働する楽しさを実感できました。ビジョンが抽象的で方向性を失う難しさにも直面しましたが、話し合いを重ね、意見をぶつけ合い、尊重し合うことがより良い価値を生み出すことにつながると学びました。この経験を糧に、今後もひたちなか市の持続的な未来の創造に関わり続けたいです。

〈のじりはやと〉
他大学の学生と協力して一つのプロジェクトを進めるという、初めての貴重な経験をすることができました。活動の中では自分の力不足を感じる場面もありましたが、その度に仲間が優しく支えてくれ、とても心強かったです。また渉外係として社会人の方とやり取りする中で、社会性やコミュニケーションの大切さを実感しました。またバックアップをしてくださったBio QUONの皆さまや市役所職員の方々が、夜遅くまで私たちに寄り添い、真剣に向き合ってくださったことにも深く感謝しています。このインターンを通して、私は地方創生に対する関心が一層強まり、将来はこうした地域にかかわる仕事にも挑戦したいと感じるようになりました。

活動を終えて

半年間の活動を通じて、アップサイクルや環境問題がより「自分ごと」として捉えられるようになりました。また、地域の事業者や行政、住民の方々との関わりを通して、ひたちなか市の温かさに触れ、今後もこの地域に関わり続けたいという思いが強まりました。本活動にご協力くださった関係者の皆さま、また温かく支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。多くのご助言やご支援、そして人とのつながりがあったからこそ、ここまで取り組みを進めることができました。今回の取り組みは一区切りとなりますが、ここで得た経験やつながりは、循環型社会を実現するための確かな第一歩であると考えています。今後もそれぞれの立場から、アップサイクルがもたらす持続可能な社会への行動を実践していきたいです。