【あなたの将来に「ひたちなかで働く」という選択肢はありますか?】ひたちなか市にあるものづくり企業「黒沢製作所」の魅力に迫る!

ものづくり班メンバーと黒澤専務

都心に住んでいる私たちが、地方で働く…
渋谷でショッピングしたり、新宿でランチしたりしたいし…遠くで一人生活するなんてできるのかな?
でも、地方でのんびり暮らすのも悪くない…!大学生になってからはサイクリングやグランピングをしに、地方へ行くことも度々。
そんな思いを抱いた私たち大学生3人が、ひたちなか市と地域プロモーションを専門とする(株)ココロマチによる実践型ローカルキャリアインターンシップに参加しました。プログラムでは、大学生がひたちなか市のものづくり企業へ就業体験し、そこで感じ取った魅力を、都内のココロマチで学んだ取材や記事執筆のノウハウを活かして発信します。地域・企業で実際に働き・暮らす「中の視点」と、地域・企業の魅力を発見・発信する「外の視点」の両方を得られる機会としても位置付けているそうです。
私たちは黒沢製作所の黒澤専務にインタビューさせていただき、ひたちなかで働き、生活することについて考えてきました。

ものづくり班メンバーと黒澤専務

ものづくり班メンバーと黒澤専務

ここで簡単に執筆者の自己紹介をします。東京在住の来年から社会人になる、大学四年生の佐野、神奈川在住の絶賛就活中の大学三年生の須澤、そして東京在住のこれから就活の大学二年生田中の3人です。
このプログラムに参加するまで「ひたちなか」について全く知らなかった私たち。
え…?ひたちなかって東京から電車に揺られ、乗り換えいらずの2時間で行けるの?
農業も産業も観光も充実してる…もしかして、わたしのワガママが叶えられる街…?と驚きや発見が盛りだくさんでした。
この記事を通じて、あなたの将来にひたちなかでものづくりという選択肢ができると嬉しいです。

ひたちなかの魅力まだ気づいてないってやばない?

「好きなことをやれる、なんでもできる、チャレンジができる場所がひたちなかです──」。
ひたちなか市で祖父の代から続く黒沢製作所の3代目、黒澤専務は同市の魅力をこのように表現します。
「ひたちなかってどこにあるの?そもそも何県?」。
ひたちなか市についてほとんど何も知らなかった私たち3人ですが、ひたちなかインターンシップ・ものづくりコースで黒沢製作所を見学・取材した経験を通じて、たくさんの発見がありました。

その一つ目が…「行って楽しい、住んで楽しいまち」であること!ひたちなか市は茨城県の中央部からやや北東に位置し、東京駅から特急で約90分の場所にあります。そんな同市には、花と緑に囲まれた都市公園である国営ひたち海浜公園や、ひたちなか海浜鉄道湊線、那珂湊おさかな市場があり、また勝田全国マラソン大会や、ひたちなか祭りが開催され、イベントも盛りだくさん。マラソン大会で参加者に配られる「完走いも」からはひたちなか市民のユーモアが伝わります。
食の宝庫でもあるひたちなかでMust Eatは…干し芋とあんこう鍋と那珂湊焼きそば!!干し芋は生産量日本一を誇る茨城県の特産品です。ほしいも神社では「ほしいものをしっかり念じ心を込めてご参拝ください」笑

大丸屋の芋干し施設

大丸屋の芋干し施設

そんなひたちなか市に魅了され移住される方も多く、その中には那珂湊の芸術祭に関わられた芸術家さんもいらっしゃいます。
「若い人はチャレンジができる場所だと思います」と力強く語る黒澤専務の言葉が印象的でした…

世界に誇る企業城下町ひたちなか!

二つ目の発見は…「産業のまち」であること!さきほども述べましたが、ひたちなか市の那珂湊地域では、古くから水産加工業が発展し、特にタコの加工は日本一の生産量を誇っています。そんな那珂湊地域でのMust Visitは那珂湊おさかな市場!!
太平洋に面し、近海から遠洋までの豊富な海産物が水揚げされる那珂湊漁港が隣接することから、市場にある7つの食事処と5つの海産物店では、海風に触れ大海原を背景に食事や買い物を楽しめます。

多くの観光客でにぎわう「那珂湊おさかな市場」

多くの観光客でにぎわう「那珂湊おさかな市場」

また、ほしいもも全国の生産量の約9割を占めていることからもわかるようにひたちなか市にとっては重要な存在です。
しかしやはりひたちかな市の産業の根幹を支えているのは工業です。今から28年前、1994年に勝田市と那珂湊市が合併してひたちなか市が誕生したことから、多様な産業の集積地となっています。
企業の城下町として発展してきた勝田地域には、「ひたち」から連想できるように日立製作所グループ企業などが数多く立地しています。電機、機械などを基幹産業として発展してきたひたちなか市では、日立ハイテクにより2021年に半導体製造・解析装置の新工場が完成。世界規模で需要の高い半導体製造の重要拠点となっています。
ひたちなか市で生産された部品は輸出され世界の様々な場所で今も活躍しています!

黒澤専務から作っている部品についての説明を受ける参加者たち

黒澤専務から作っている部品についての説明を受ける参加者たち

黒沢製作所の昔と今

本プログラムを通じて大変お世話になったのが、黒沢製作所!これまでに制作した部品はなんと、5,000種類以上と、顧客ニーズの多様化と比較的生産が容易な大量生産が海外に流出した結果生まれた多品種少量生産の需要の高さを体現する会社です。
創業は1988年、黒澤専務のおじいさまが始められました。生粋のおじいちゃんっ子だった黒澤専務。
「孫と一緒に仕事するんだ」と周囲に語る祖父の期待に反して、入社することを悩んだことも。専務が高校在学中におじいさんが亡くなってしまい、会社に入るか考えた際、「入る前に会社を見たとき、管理体制がなくて労働時間も長い、いわゆる”ブラック企業”という状況だったのが大きな壁でした。──また、大好きなおじいさんが亡くなった後にやる意味はないのでは?」とも悩んだそうです。でも、「おじいさんがやってたからやらなきゃな」と思い入社を決め、雇用環境を改善すべく専門学校に入り、システム開発を勉強。

工場内を案内する黒澤専務

工場内を案内する黒澤専務

「学校卒業後、会社に戻りましたが、中はシッチャカメッチャカで、管理など何もないに等しい状態でした。こんなんじゃやっていけない。やれることは考えてやろうとの想いからシステムの開発をし、社員の皆さんと腹を割って話し、今のシステムを作ったり生産体制を作り上げました。」
「従業員に助けられて切り抜けられたんです。」そう熱く話す黒澤専務のお話から、黒沢製作所の温もりが伝わりほっこりする私たち3人でした。

「黒沢製作所」外観

「黒沢製作所」外観

黒沢製作所の業務の多くは、精密機械に用いられる精密部品を作成することで、0.005ミリ単位の精度が求められます。しかし製作所が作成した精密部品は、病院用の精密機械などあまり一般には知られていない機械に用いられているため、作っている本人にも部品がどこに使われているのかがわからないことが課題となっていました。

しかし最近では黒澤専務が本来の業務の傍らに「ジャンボ餃子の型」を作成したそうです!
事の始まりは足長バチの巣の駆除でした。黒沢製作所付近に突如できた蜂の巣を駆除すべく、専門業者に依頼。偶然にも社長とは知り合いであったことから話が盛り上がり、イベントで使用するジャンボ餃子の型の製作を依頼されました。餃子の皮の形にこだわりのあるクライアントと、新機器に挑戦したい黒澤専務の想いが合致したことから、ジャンボ餃子の型が完成しました。

3Dプリンターで作成した模型たち

3Dプリンターで作成した模型たち

他にも、餃子の型と同様に通常の業務の合間で、野鳥の会で使う天体望遠鏡とカメラを接続するための部品や、UFOキャッチャーの駆動部品、原子力研究のモックアップ品に加え、干し芋乾燥機などなど…できることはなんでもやっている企業が、黒沢製作所です。人との交流や想い、挑戦を大切にされるからこそ出来上がる商品の数々。

近所のゲームセンターにて

近所のゲームセンターにて、打ち合わせ中の黒澤専務

「県外で育ってきた私でも、黒沢製作所で働けば同様のことができるのでしょうか?」と質問したところ…
「人と触れ合って話せる人であれば誰でも可能」とおっしゃっていました。
「SNSだったら多分こうならなかったけど直接会ってお茶したからそうなった」。コロナ禍で実感する対面の大切さを改めて教えていただきました。また、このように様々なところで用いられる部品を作成することで、近隣の人に黒沢製作所が何を作成しているのかを理解してもらう際の導入部分としても、有効であると考えられます。

職場きれいだ 製作所

黒澤専務が「色んな人がいます。明るい人も黙々とやるのが好きな人もいる」と語るように、黒沢製作所の従業員の方々も少数精鋭かつ多種多様!そしてそれを支える環境もあります。
現在は男性16人、女性4人の方が働き、休憩時間には筋トレやサマーベッドの上で日光浴をされる方も。
工場見学で私たちが驚いたことは、綺麗で静かな工場であること!
「怪我が身近に潜んでる仕事だからやるときは集中してやる、休憩時間は食堂で和気藹々と話す、メリハリのある職場です」。
元々は長時間労働が多かった黒沢製作所ですが、現在の平均残業時間は約15時間。勤務時間は8:50-17:00で、年間休日は118日です。また、有給休暇の平均取得日数は年に9.4日です。国家資格取得のサポートもあり、女性従業員が資格取得後に異動された事例もあります。

黒沢製作所での技術見学

俺についてこい!

黒沢製作所では、「目標を持つこと」「やる気があること」「センスがあること」「健康であること」を採用時に求めています。ものづくりが好きな人だけでなく、金属加工が好き・興味がある人も募集しています。
中途採用が多い現状ですが、新卒も積極的に受け入れています。文系卒も、言語化が苦手な技術職を支える存在として重要な人材です。「アイデアを外から吸い出してくる人として活躍して欲しいです。理系は論理的だけどインプットとアウトプットが文系は得意だと思うので。」と黒澤専務。

未来を語る黒澤専務

「金属は生き物です。ただの硬い塊のように見えて、気温・湿度の1度の変化によって変形する、繊細なんです──」。黒沢製作所での働き方や黒澤専務、金属に興味のある方、もっと知りたいと思われた方、ぜひ黒沢製作所の門を叩いてみてください。