機械に頼りすぎない、一つの商品にかける想いの強さが自慢の『コロナ電気(株)』【体験レポート】

皆さんは、「マイクロプレートリーダー」という製品をご存知でしょうか。「マイクロプレートリーダー」とは、光の力を利用して、ウイルス特定や物資の解析を助ける測定機器です。光を利用したこの自社製品を武器に、ひたちなか市から世界に向けて業界の可能性を広げているのが、『コロナ電気』です。今回、光学とは無縁の文系学生が、実際に業務を体験し、精密機器の理解を深めてきたところ、製造業の現場の意外な実態が見えてきました。

会社の基本情報
会社名:コロナ電気株式会社
業種:電気機械器具製造業
住所:茨城県ひたちなか市東石川3517
成立年:1952年8月1日
代表者:代表取締役 柳生修
企業理念:学ぶ、楽しむ、育む

体験スケジュール

9:00 出社
初めての企業訪問で緊張…!会社の魅力が伝えられるよう、どんどん情報を吸収しようという心持ちで現場入りです。

美術館のようにきれいな工場の外観

工場入口

これが工場なのか?と驚くほどきれいな外観。美術館がイメージされるような外観で、一緒に就業体験に行った建築学科のインターン生は早速興味津々でした。

9:15〜 会社説明
専務の柳生昌克さんに、簡単に会社について説明していただき、施設内を回りました。外観だけでなく、施設内も工場とは思えない綺麗さでした。製造部を中央にして、他部署がそれを囲う構造になっている、開放的で明るい社屋。『いばらきデザインセレクション2018』に選出、表彰されているのだそう。設計に関わった専務によると、社内のコミュニケーションを大切にし、オープンな環境にしたいという想いを込めてこのようなレイアウトになっているのだそうです。

いばらきデザインコレクション2018の賞状

いばらきデザインコレクション2018の賞状

開放的な社屋の様子。黄色と緑の部屋が作業部屋兼物置として完備されている。

開放的な社屋。黄色と緑の部屋が作業部屋兼物置として設けられています。

その後、製品完成までの工程も説明して頂きました。『コロナ電気』では下記のような工程で作業が進められています。
設計(R &D設計部)

発注(資材部)

納品(資材部)

組み立て(製造部)

10:00〜 3D設計ソフトを使った図面作成体験
精密機器を作る上で、最初に行うのが設計です。製品を作る部品を発注する上で、この作業が重要になります。設計には3Dソフトを使用しているのですが、慣れないPC操作に大苦戦しました。R &D設計部(研究開発部)の飛田さんが一から丁寧に操作方法を教えて下さり、30分ほどで様になりました。2Dの図面を3Dに起こす際には、空間把握の能力が必要なことがわかりました。

設計ソフトに慣れた様子で作業するインターン生

設計ソフトで作業するインターン生

12:00〜 昼休憩
R &D設計部の川津さん、飛田さんとご一緒させて頂くことに。会社のお話やプライベートなどのお話をうかがうことができ、有意義な時間となりました。

13:00〜 社外の部品製品工場見学・部品受取業務体験
次に、資材部で部品にフォーカスして仕事内容を教えて頂きました。ここでは、設計部が設計した図面を元に必要な部品を発注し、検品作業をして番号を振り、保管するというのが主な仕事内容です。今回は特別に部品の取引先の工場(飯島プレス有限会社様)にも訪問し、実際に部品が作られる過程も見せていただきました。受取は基本、運送で行われますが、注文内容が違っている場合や、確認する時は直接企業に足を運ぶそうです。
『飯島プレス』の工場は女性が圧倒的に多く、女性が関わることがないと思っていた精密機器業界のイメージがガラッと変わりました。
また、資材部の方によると、海外製の部品の方が安く手に入ることもあるそうですが、ひたちなか市の中小企業を支えたいという想いもあって、あえて市内の工場にお願いしているそうです。地域の企業間の関わりが感じられる体験となりました。

取引先の製品工場を訪問しました。部品同士をくっつけている様子です。

取引先の製品工場を訪問しました。部品同士をくっつけている様子です。

発注取引を行っている資材部のオフィス

資材部のオフィス。ここで発注取引を行っています。

15:10〜 電車機器組み立て体験
続いては、いよいよ組み立ての作業です。工場というと、ベルトコンベアが作業を進めていくイメージがありますが、『コロナ電気』ではほぼ手作業での組み立てとなっています。イメージの違いに驚きました。構造が複雑なため、特注であることが多く、出荷数とコストを考えた時には手作業の方が効率的なのだそうです。今回は電子顕微鏡の組み立ての一部分を体験しました。私たちは、電子顕微鏡の外側の部品組み立てと電子顕微鏡内の配線処理を体験しました。

電子顕微鏡外の部品組み立ての体験の様子

電子顕微鏡外の部品組み立てを3種類体験しました。

この細かい作業を経て、部品を本体に取り付けていくと電子顕微鏡が完成します。製品一つ一つに向き合い、丁寧に作業を進めていくスタイルは『コロナ電気』らしさとも言えるのではないかと思いました。

16:55〜 集合、解散
製造体験に夢中になるうちに、あっという間に解散の時間。一人で作業することが多い印象でしたが、一つの製品に設計から組立まで多くの人が関わって完成に至っていることがわかりました。
就業体験に協力して下さり、ありがとうございました!

学生の私が感じた『コロナ電気』の魅力

①手作業と一つの製品にかける想いの強さ
機械化できる部分も、出荷数を考慮してほぼ手作業で行なっています。その分、一つの製品にかける想いが強く、丁寧に製品と向き合っていると感じました。手作業にすることで、流れ作業感がないように感じました。

②社屋の開放感
社屋の改装によって、採光が取り入れられ、明るい社屋は作業に集中しすぎて閉鎖的になってしまうことがなく、社員の方同士も開放感に満たされている印象でした。社員の方一人一人が伸び伸びと自由な空間の下働けるということは大切だと思います。

③文理問わず仕事できる
精密機器というと理系学部出身の学生が主に活躍するように思いますが、設計においても空間把握さえできれば文理不問で十分活躍できると感じました。私も、文系の学生で図形や組み立ては苦手分野ですが、コツを掴めば作業に困ることはありませんでした。どんなバックグランドの人でも、実戦実践をもとに成長していける会社ではないでしょうか。

何をやっているのかイメージするのが難しい精密機器の工場ですが、工場というよりはオフィス空間に近いというのが『コロナ電気』の印象です。圧倒的な手作業派で、時間をかけて一つの製品を作り出していくこだわりも、魅力的でした。

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