地元に愛され、地元を愛する『コロナ電気(株)』

地域に根付く企業、『コロナ電気』。地域に愛されるその魅力はいったい何なのか。今回私たちが就業体験の中で見つけた『コロナ電気』の魅力をご紹介します。さらに今回は、代表取締役社長である柳生修さん、専務取締役である柳生昌克さんのお二人にインタビューする機会を頂きました。会社を代表するお二人の会社への、そして地域への思いに迫ります。

社長インタビュー

先代から受け継ぐもの、そして変えていくもの

――まずは社長ご自身のことについてお聞きしたいと思います。どのような経緯で現在の職につかれましたか?

柳生社長:この会社はわたしの父が1952年に創業しました。私は、大学に入る前までは地理学の勉強やメカ、パイロットなど、親の職業に関係なくいろいろなものに興味を抱いていました。父は一度も私に会社を継いで欲しいと言ったことはなかったのですが、やはり子は父の背中を見て育つといいますか、仕事で喜んでいる姿や行き詰っている姿など、そういった様子を見てモノづくりの面白さに気づきました。
あとは外交的な父の生き方にあこがれたというのもありますね。大学に入学する時には、父の事業の跡を継いで、この会社の後継者になることを決めました。私が入社した後1985年に父が62歳で急逝しまして、私は31歳で今の社長という立場につきました。

――現在は、どのようなことに力を入れていらっしゃいますか?

柳生社長:私たちの製品の最終的なお客様は実はほとんど海外なんです。
こういう事業をしていると、たとえ仕事自体は日本国内でも、国際的に見るといろんな影響を受けています。例えば受注量に関わる外国為替、通貨の円高円安。それから対外情勢、例えばアメリカ・中国の貿易戦争だとか日本と韓国の摩擦といったことです。
そういった情勢の変化や新技術を取り入れて企業のかじ取り役として利益を出して会社を継続できるよう日々取り組んでいます。

――国内で仕事をしているからといって国内だけを見ていてもいけない、これからはアンテナを広く張らなければならないのですね。社是である「学ぶ・楽しむ・育む」にもそういった思いが含まれているのでしょうか?

柳生社長:これは私の代になってから作りました。社員の皆さんは人生の大部分を、そして1日のほとんどの時間を仕事に費やすわけなので、それをただ生活の糧を得るための手段としてとらえてほしくないんです。仕事の中で学び、仕事を楽しみ、成長していってほしいという思いを込めて「学ぶ・楽しむ・育む」という社是を作りました

――仕事というものをポジティブに捉えられそうな社是ですね、素敵です。

インタビュー時の柳生代表取締役社長

インタビュー時の柳生代表取締役社長

自社製品誕生の裏にあるこだわり

――『コロナ電気』では現在『日立ハイテクノロジーズ』の電子顕微鏡と自社製品であるマイクロプレートリーダーの製作をメインに行っていると拝見しました
マイクロプレートリーダーは医療・バイオ・食品など幅広い分野の研究に用いられる光をつかった計測のための機械で、『コロナ電気』は日本で初めてマイクロプレートリーダーを製品化したとお聞きししています。その開発経緯について教えて頂けますか?

柳生社長:ある時小児科の先生から依頼されたのが始まりですね。アメリカにはマイクロプレートリーダーのような計測器があったらしく、日本国内で作れるメーカーを探していたそうです。光の計測技術を磨いてきたわが社にとって光の計測を原理とするマイクロプレートリーダーはぴったりでした。
そこで1台試作したところ非常に使い勝手がいいと好評を頂いたのです。その後製品化のご提案を頂き、日本国内で初めてマイクロプレートリーダーを作り始めるに至りました。
自社製品といっても実は昔は電流計、電圧計や機械の電源装置などいろいろなものを作っていました。その中でわが社は光の計測という技術を手に入れたのです。

――光を使用する技術にこだわり続けたからこそ生まれた製品だったのですね。光を使った技術にこだわるのはなぜですか?

柳生社長:計測器の分野でも光をつかった計測というのは非常に幅広い分野で応用ができるのです。
病気の診断にも使えますし、メロンや桃などの果物を壊さずに中がどれだけ熟しているかの測定ができるなど、いろいろな応用用途があるのでこれは伸びしろのある分野だと考え、光に特化して技術を磨いてきました。

自社製品であるマイクロプレートリーダー

自社製品である「マイクロプレートリーダー」

学生必見!誰もがやりがいのある仕事を…

――それではここからは学生たちが気になりそうなことを少しお聞きしていきたいと思います。まず、会社の魅力はどういった点にあるとお考えですか?

柳生社長:「完成品まで全て製造会社として作れる」という点だと思います。基本的に中小企業というのは部品、ユニット止まりで最終的な完成製品まで作るという役割を持っている会社というのは少ないのです。モノづくりにおいてきちんと設計企画から部品を集めて製品を組み立てて、お客様に使っていただいて評価を直接頂けるというのは非常にやりがいがあることだと思います。それができるのがわが社の最大の魅力だと思います。

――なるほど、たしかにモノづくりの醍醐味をすべて味わえるというのは魅力的ですね。実際どのような方が輝ける環境なのでしょうか?

柳生社長:自分の専門だけじゃなくて、いろいろな人とコミュニケーションを図り、協力し合いながら仕事をやっていこうという考えの人が働きやすい環境だと思います。
技術を売っている会社なので、営業の人間もある程度製品の知識が必要なのですが、今営業をしているのは基本的に文系出身の社員です。製品の知識などは仕事をしながら学んでいくものと考えており、文理の向き不向きというのは特にないと思います。
設計部だけは理系出身の社員がメインなのですが、そちらも光について専門的に学んできたという人はほとんどいません。ですので、専門性とか資格を持っているかといった点はそこまで重要視していません。一番大事なのは興味をもつことです。仕事だから仕方なくやるとかではなくて自発力をもって取り組めることが大事だと思います。

――意外にも専門的な知識、資格は採用の時点では重視していないのですね。学ぶことが多く大変そうではありますが、やりがいがあって面白そうだと感じます。

地域に愛される企業は地域を愛する

――ここからは地域との関係についてお聞きしたいと思います。今後ひたちなか市との関係の中で企業としてどのようなアプローチが必要だとお考えですか?

柳生社長:ひたちなか市は工業のまちということもあり、我々製造業がいろんな形で仕事を頂けているのはひたちなか市が我々が仕事をしやすいようにバックアップしてくださっているからです。
我々は市民として地域の方々とコミュニケーションをとりながら評価されなければならないし、反対に私どもも仕事がしやすいようにひたちなか市にいろいろな整備をお願いしたい。ひたちなか市から期待される、地域の一市民としての役割もちゃんとわきまえながら、事業を継続していきたいと思っております。

――なるほど、ただ企業としての役割を果たしているだけでは良好な関係は築けないのですね。地域の方々とのコミュニケーションの場はどのように設けていますか?

柳生社長:主に会社見学ですね。小中学生に来ていただいたり『ひたちなか市のテクノセンター』の主導で勝田工業高校の生徒さんやPTAの方に来ていただいたりとか、市議会議員の先生方もお見えになりましたね。
やはり地域の方でも『コロナ電気』が何を作っているか知らない方が結構多いんです。高校の進路の先生のお話では本人の意思に加えて両親、特にお母さんの後押しが決め手になることも多いというお話なので、父母の方々にもどんな仕事をどんな環境でやっているかを見て頂くのは意義のあることだと思っております。
それから理科教育は非常に大事だと思っております。私の父親が1984年に立ち上げた「ひたちなか少年少女発明クラブ」では、理科や科学に興味のある小学校3、4年生の子たちを60人ほど集めて主に理科工作を行っています。
あとは週末に駐車場の貸し出しを行ったり、近隣の小中学校の児童の町探検の受け入れもしています
――そういった活動をしているからこそ地域の中で受け入れられているのですね。

「コロナ通り」にあるコロナ通り踏切の写真

本社の位置する通りは「コロナ通り」と名付けられている

最後に…

――人生の先輩として若者にメッセージをお願いします。

柳生社長:人とのご縁を大事にしてほしいです。「窮地に立たされたときに変わらず声をかけてくれる人がどれだけいるかが大切なんだ」ということを私の父が言っておりました。唯一の教えですね。
そのためにも人と誠実に付き合うことが重要です。例えばお仕事でも、お客様だからといって変にこびへつらわず、自分にできることを精一杯やることです。

――柳生社長、お忙しい中ご協力いただきありがとうございました!

 地元から愛され、地元を愛する企業、『コロナ電気株式会社』、いかがだったでしょうか?
仕事の自由度、そしてこの会社ならではの達成感がそこには確実にありました。この二つの側面を両立させていることが、この会社で働く上での大きな魅力だと感じました。
幅広い業務の中にあなたに合うものが必ず見つかります。文理の向き不向きや性別は関係ありません。あなたも自分の手が加わったモノが世に出ていく感覚を味わってみてはいかがでしょうか?

学生の私たちが感じた『コロナ電気』の魅力

①仕事の自由度、多岐にわたる業務
大手メーカーのようにマニュアルの中で決まったルーティンワークをするのではなく、自分の裁量でお仕事をなさっており、皆さん生き生きしているように感じました。自分で考えて仕事が任せられるため、その分達成感は大きいそうです。経験できることも多いと感じました。

②仕事の実感、自分の作った製品が世に出る感覚
中小企業にもかかわらず製品の完成に至るまでのすべてに関わることができるため、自分の仕事の成果・実感を得やすいと感じました。社員の方々も自分の作った製品が世に出る感覚は何にも代えがたいとおっしゃっていました。

③地域に根差す、地元から愛される企業
地域に古くからある『コロナ電気』は地域と距離が近く、受け入れられているように感じました。小中学校の工場見学や町探検の受け入れ、理科工作教室の実施など、地域貢献にも積極的で、本社の前の通りは「コロナ通り」という愛称が付いていました。2017年には「地域未来牽引企業」にも選定されているそうです。

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