「工場」というイメージを覆す!?『(株)菊池精器製作所』で働くということとは

みなさんは、「工場」というとどんなイメージを持っているでしょうか?ベルトコンベア、単純作業といったイメージもあるかもしれませんし、クリエイティブなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

今回、ご紹介するのは、茨城県ひたちなか市に工場を構える『(株)菊池精器製作所』です。日立グループの製品づくりを行いながらも、長い目で業界を見据えている菊池社長にインタビューを行いました。この記事を通して、これから就職活動を控えている学生さんに中小企業で働くということ、さらに『菊池精器製作所』で働くことについてその魅力をお伝えできたらと思います。

大学生の私から見た、『菊池精器製作所』の魅力

① 下請け脱却を見据えた広いビジョン
『菊池精器製作所』さんは現在、大手企業の下請けとしての製品の生産を主に行っています。中小企業は視野が狭くなりがちですが菊池社長は世の中の動向をよく掴んでいらっしゃり、広い視野で会社の今後のビジョンをお持ちだと感じました。

② 工場でありながら、人と人とを重んじる
工場での作業だと従業員が機械や設備と仕事をすることになりますが、社長と社員、社員と社員、会社と顧客、結局は人のつながりが大事だとおっしゃっていました。また、そのためには働きやすい環境づくりが必要であり、菊池社長のミッションは社員一人一人の幸せを考えることだともおっしゃっていました。

③ ひたちなか市内での中小企業のつながり
以前の中小企業は仕事の奪い合いが競争であったが、現在は仕事を共有しなければ生きていけない。地域内でのつながりを持ち協力する必要性があるということをおっしゃっていたのが印象的です。

菊池社長インタビュー

~強みとビジョン~

――『菊池精器製作所』ならではの強みは何だとお考えですか。

菊池さん: うちではワンストップサービスというものに取り組んでいて、機器を作るときに部品だけではなく、機器を丸々作ることができます。ワンストップになるとやらなければいけないことが多いので、うまく可視化しないと回りません。そのため、生産計画にも力を入れていて、仕込みから納品までの時間をどう短くするかを常に考えています。というのも、私は学生の時の論文が生産計画でして、計画通りにものを生産するためにはどうすればちゃんと物が作れるかということを研究していました。早い時期から工業系に求められている知識に触れることができたと思っています。

――現在、売り上げの約9割が、日立ハイテクノロジーズなどの大企業であるとおっしゃっていました。今後の会社としてのビジョンはいかがでしょうか。

菊池さん: 端的に言うと、日本が推し進めている産業分野に重きを置いていこうと思っています。つまり、医療分野と半導体関係の仕事ですね。

――それは脱下請けというものを見据えてということですか?

菊池さん:はい。実は2年前に中小企業大学校という学校に通っていて、そこで先生方と会社の将来について話し合い、3年計画に落とすことを決めました。中小企業の社長の多くは昼夜仕事に励んでいて、大手企業の言うことは聞くけど、世の中の動向はあまり知らないし、意外にも外から助言してくれる人が少ないんです。だから自分から世の中の情報を取りに行かなければいけません。

説明を受ける様子

~工場でありながら、人と人とを重んじる~

――朝礼で行っていることについて教えていただきたいです

菊池さん:短い文章をみんなで読み上げて、互いに気づきを発表するということを行なっています。工業系の人たちは活字に弱くて新聞など全く読まないので、朝礼でそこを補っていますね。あとは、気づきを得るということです。見たもの聞いたものに対して自分の考えを持つことに加えて、自分にとって足りない部分に気づいてほしいという思いから、教育の一環として行なっています。また声出しも行なっています。昨日工場見学をしたときにみんな挨拶してくれたと思いますが、あれってなにもやらないとみんな挨拶しないんですよ。なぜかというと、工場での仕事は人とではなくて物や設備との仕事だから。ガソリンスタンドでも当たり前にやっているのに、工場でやらない理由がないでしょう。

――ホームページを見ると、今年も新卒を募集してしているようですね。菊池社長がこんな人と働きたいというような人物像はありますか。

菊池さん:人は見ますね。結局人と人なんですよ。一人一人の将来設計を作ってそれにはまるように考えています。

――従業員一人一人に技術士の国家資格を取らせるようにしていると伺いましたが、どのような意図がありますか。

菊池さん:国家資格は会社にではなく個人につくものです。もし会社を辞めるとなっても、資格を持っていることは今後の人生でその人にとってプラスになるでしょう。

――具体的にどのように働きやすい環境をつくっていますか

菊池さん:工場内を清潔に保つこと、就業時間など守って残業はできるだけしないようにすることなどです。実は10年前までは残業時間が普通に100時間とかいっていたんですよ。ただ、その人の人生それでいいのかなって思って、自分の人生のプラスとして仕事があってほしいと思うようになりました。最近はロボットを導入したり、仕事の取り方を見直したり、生産計画をきちんとつくったりしてだいぶ落ち着きました。

――『菊池精器製作所』での社長ご自身のミッションはどのようなものだとお考えですか。

菊池さん:会社全体のミッションは理念の通りですが、従業員の幸せを考えること。これが私の小さな目標であり、ミッションだと思います。

菊池社長から説明を受けている様子

~ひたちなかという地域と中小企業~

――地域への貢献という観点では『菊池精器製作所』ではどのような影響があるとお考えですか

菊池さん:一番は会社が存続することが貢献に繋がると思っています。しかし現在は働き手不足が深刻で、地元の高校を出た人たちがみんな東京に行ってしまう。そういう人たちが帰ってくるようにするには、やはり働き口が必要だと思うので、そこはしっかり整備しなきゃいけないと考えています。

――昨日連れて行って下さった『(株)エムテック』の松木社長ととても仲がよさそうでしたが、地域における中小企業同士の繋がりについて教えて頂きたいです。

菊池さん:昔も今ももちろん企業同士で競争はしていますが、競争の仕方が変わりました。昔は仕事の取り合いだったけど、今は仕事を共有することが多くなりました。私たちの世代はこのように地域で協力してやらないとやっていけないと思います。

~就職活動中の学生へ~

――最後に就職活動を行っている学生に対して、どのように企業選びをしたらよいかアドバイスをお願いします。

菊池さん:まず自分のやりたいことを明確にすること。それを踏まえたうえでいろいろな展示会や企業説明会に行って、実際にそこで働いている人の声を聞いてみて下さい。

最後に

『菊池精器製作所』の魅力をみなさんに伝えることができたでしょうか。取材に伺った私たち2人は機械系には全く無縁な学生でしたが、2日間の企業訪問を通じて『菊池精器製作所』で働いてみたいと思えるほど、当初持っていた工場へのイメージがガラリと変化しました。菊池社長は広い視野と柔軟な考えをお持ちで、会社や社員に対する思い入れを強く感じました。

最後に、企業訪問の間、ほぼつきっきりで私たちに丁寧に説明をしてくださった菊池社長、『菊池精器製作所』のみなさん大変お世話になりました。

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